「地獄の釜」ニーラゴンゴ山の噴火 | 迷えるオッサンの老惨禄

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チェンマイ18年の日誌を中心にやってきましたが、2021年9月帰国、タイトルを変更したいました。

 

「地獄の釜」ニーラゴンゴ山の噴火

 

 

 

 

 

 

先日YouTubeを見ていると、23日にコンゴ民主共和国(旧ザイール)東部国境に近いニーラゴンゴ火山が噴火したというニュースが飛び込んできた。

 

ニーラコンゴ火山といえばその火口には常時灼熱の地獄の釜のような溶岩湖を形成(画像)していることで有名で・・・・

 

こんなのが噴火したらゾゾゾー――!!!たまったもんじゃナイなと思い、以前関連記事を「好奇地理博物誌」に書いたことがあり、今回はそれを紹介しよう。

 

場所はアフリカ大陸東部を南北6400キロにわたって縦貫するアフリカ大地溝帯(グレートリフトバレー)に位置している。

 

・・・で“great rift valleyを直訳すると「大きな裂け目の谷」つまり地球の裂け目(割れ目)にある峡谷で、日本語では「大きな地球の溝の帯」すなわち「大地溝帯」と呼んでいるのです。

 

で大地溝帯とはどんな場所かと言うと地球内部からのマントル対流(マグマなど)が噴出して大陸の地殻(プレート)を割って拡大させている大規模な帯状の裂け目で、総延長は北海道から沖縄までの日本列島の3倍強の6400キロにも達するのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

■この地域の詳細を見るとアフリカ大陸のほぼ中央、ウガンダ・ルワンダ‣コンゴの3国国境地帯にある地球上で最も地殻変動の活発な場所で・・・、

 

上図のようにカリシンビ山(4507m)・ニーラゴンゴ山(3470m)など3000~4000mを超える巨大火山が7つも連なるビルンガ火山群列を形成している。

 

赤道直下にあるが地溝底にあるキヴ湖面の標高が1460mと高く、高度で気温が緩和された常春気候を呈し、肥沃な火山性土壌にも恵まれた居住農業適地であり、キヴ湖畔のゴマは人口200万の大都市で、隣接するルワンダはアフリカ第一の人口密度国となっている。

 

 

 

 

■ところでカリシンビ山一帯は世界最大のマウンテンゴリラ棲息地としても知られ、観光収入はルワンダ最大の外貨獲得源となっている。ゴリラとツチ族は仲良しのようだが、言葉の通じるフツ族とは犬猿の仲で・、1994年にはツチ族の過半数がナタで虐殺される”ルワンダ=ジェノサイド事件”が発生した。

 

こうした中で「地獄の釜」ニーラゴンゴ火山に象徴される火山噴火は地元住民の脅威となっているが、同火山の活動は極めて活発で特に近年はキヴ湖のメタンガスへの引火と結んだ複合大災害への危険性が指摘されている。

 

ちなみにキヴ湖深層部には地溝帯底から湧出する炭酸ガスやメタンガスの厚い堆積層があり

天変地異など何らかの激震で撹拌されると湖水爆発が勃発、大規模な複合大災害を招くとされている。

 

これは19868月カメルーンの小湖ニオス湖の湖水爆発(死者1800人・家畜3500頭)の先例があり、もしニーラゴンゴ火山溶岩のキヴ湖流入となれば湖水爆発の被害ははるかに甚大で、犠牲者はゴマ市を中心に死者200万人強と推定されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■上画像は2015年に米企業によるキヴ湖天然ガス開発で建設された水溶ガス抽出プラントで、13km離れた湖岸のキブエにガス発電所が稼働、将来はルワンダ電力生産の河畔を担う予定である。

 

なお、キブ湖のメタンガス資源は500m3と石油換算で 4000万トンに達し、液化すれば現在ルワンダが全面輸入している石油自給も可能とされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃんちゃん