サクラー家(パーデュ ファーマ社 - Purdue Pharma)
めっちゃ有名なサクラー家(Sackler)一族に関するあれやこれやは、知ってる人
多いと思うけど、一応ザっと書いとくな。
このサクラー家って元はユダヤ系の移民で第一次世界大戦前にニューヨークに
渡って来はった人らやわ。
パーデュ ファーマは元々、「Purdue Frederick Company」って言うて
1892年にPurdueさんとFrederickさんがニューヨークで創立しはった会社で、
シェリー酒とグリセリンを使った滋養強壮剤を製造してはってん。その後、
1952年にサクラー家の3人の兄弟(Arthur、Mortimer、Raymond)によって
買収され、役員にはサクラー家一族が名を連ねて、耳垢を除去するクリーナー
(日本やと耳かきやな)と、便秘に聞く下剤の製造を専門にしたはってん。
その後、薬事法で劇薬とされてるオピオイド(Opioid)系の鎮痛剤の開発に
移行しはって、1984年に強オピオイド鎮痛剤のモルヒネを持続的に血流に放出して痛みを長時間和らげる経口剤「MSコンチン」をホスピスにいる末期ガン患者向けに販売しはってん。
その当時は鎮痛剤いうたらモルヒネくらいで、点滴か注射での投与やってんけど、「MSコンチン」っていう新しい鎮痛剤は便利な錠剤タイプで、その上、持続性が
あるってことで、お値段は高いけど使わはるホスピスが多かってん。
ホスピスにいる患者やと依存症が出る前に死亡するもんやから依存症の問題が
でーへんかったのが幸いして、一般の患者向けにも販売すんでってことで、
その3年後にFDA(アメリカ食品医薬品局) の承認を得て販売し、慢性的な痛みや
術後の痛みの酷い患者とか、ガン以外の重度の痛みの緩和ケアとしても
使われることになってん。
最初のころはガン患者のみ服用OKやったからよかってんけど、90年代初め~
中頃にかけて「MSコンチン」の依存症の患者が出てくんねん。
幸いなことに、ガン以外の患者に「MSコンチン」を処方してた医師が少なかった
のもあって、依存症になる患者は少なかったらしいわ。因みにこの頃には
持続性製剤に関する特許を取得したはったから競合がほとんどおらへんかって
高い値段で売ったはってん。
1991年にパーデュ ファーマ(Purdue Pharma)に社名が変更されて、そろそろ
「MSコンチン」の特許が切れるから、それに代わるやつ出さなあかんわ言うて、
合成されたモルヒネの 2 倍の鎮痛効果を持つヘロインの誘導体のオキシコドン(Oxycodone)を有効成分とした新しい強オピオイド鎮痛剤「オキシコンチン」(OxyContin)を開発しはってん。
薬事規制当局から広く受け入れられて医療プログラムに組み込まれるよう、
ホスピスの患者をターゲットにして医療関係者に向けた広告を盛大に
展開しはってんけど、この段階でパーデュ ファーマが薬の依存症はほとんど
無いって嘘をつくよう販売代理店に奨励してはってん。
長期的な研究も依存症の評価もやってへんし、信頼できるデータも
あらへんかったのに1995年にFDAの承認を得て販売を開始しはってん。
FDAは、「オキシコンチン」は有効成分の放出が遅いから乱用の可能性が低いって
いうパーデュ ファーマの主張を承認したり、11歳の子供から服用できる許可を
出したりしてんねん。この「オキシコンチン」の承認に関与したFDAの審査官は、
その1年後に辞職し、その後、パーデュ ファーマのコンサルタントとして
かなりの高給で雇われたのがわかってんねん。
おかげで販売された直後から依存者が続出して問題になってくねん。それでもパーデュ ファーマは「オキシコンチン」に依存性があんのは認めんと、指示通りに服用せーへんからやって非難してはってん。
そんな胡散臭いキャンペーンやマーケティング、販売許可を取得した後、
パーデュ ファーマは、すべてのサプライチェーンに報酬を払い、販売代理店には
リベートを保証し、薬剤師には返金を保証し、患者には初回限定品のクーポンを
与え、学会には助成金を提供し、医学雑誌には「オキシコンチン」の広告で
金儲けさせ、政治家にはパーデュ ファーマとサクラー家の両方から多額の
選挙献金を渡してはってん。臨床医ら医師にはパーデュ ファーマの代理として
カンファレンスで「オキシコンチン」の素晴らしさを講演してもらって
報酬を提供したり、ゴルフ旅行に連れて行って接待したりしたはってん。
もちろんそのターゲットとなる医師は、パーデュ ファーマ独自で記録した個々の
医師が書く処方箋の量に関する情報に基づいて、多く薬を処方する医師を狙って
アプローチをかけたはったらしいわ。
パーデュ ファーマやサクラー家から恩恵を受けるウハウハな医師らは、オピオイド(要は「オキシコンチン」)の影響を軽視し、オピオイドを自然からの贈り物と呼び、オピオイドが依存症を引き起こすという考えは神話に過ぎへんわって言い出さはる
始末やって、中でもアラン スパノス(Alan Spanos M.D.)医師は「オキシコンチン」は安全やって盛大に悪徳宣伝して、たんまり報酬を受け取ったはってん。
スパノスさん曰く、「最も強力な鎮痛薬はオピオイドです。この薬は依存症や
その他の恐ろしいことを引き起こすと言われてます。しかし実際は、医師によって
治療を受けている痛みがある患者の中で依存症になる割合は1%未満です。その上、オピオイドは薬の効果がなくなることはなく効き続け、深刻な医学的副作用も
ありません。繰り返し言いますが、最強の鎮痛薬であるオピオイドは、痛みを抱える患者にもっと使われるべきです。」
金で目がくらんだ医師、いんちき販売代理店、詐欺的キャンペーンのおかげで、
多くの医師が、強オピオイド鎮痛剤「オキシコンチン」はモルヒネより弱いって
印象を持たはってん。
パーデュ ファーマは、「オキシコンチン」をガンじゃない患者のための有効な
治療薬にしようとしてはってな、末期患者だけやなくて、すべてのアメリカ人が
利用できる普遍的な麻薬の権利として、「オキシコンチン」の再ブランド化に
取り組まはってん。
1999年にはRaymondさんの息子のリチャード サクラー(Richard Sackler)さんが
社長にならはって、2001 年には「オキシコンチン」の売上が 10 億ドル
(約1100億円)を突破して絶好調となるねんけど、そのうち、ある事実が
分かってきてな。「オキシコンチン」は効き目が12時間持続し安眠できる
はずやってんけど、実際の効果は8時間しかないということにパーデュ ファーマが
気づいてん。8時間ごとで投与回数を増やすか、一回ごとの投与量を増やすかって
なって、投与量を増やして依存症になる可能性を高める方を取らはってん。
販売代理店は、パーデュ ファーマの営業担当者らから「投与量を増やすよう
医師に伝えとけよ、わかってるやろな?」って厳しく指導されたもんやから、
依存症になる患者が、これまた一気に増えてくねん。
そのうち「オキシコンチン」の処方の量がその地域の実際の人口よりも
多くなった地域とか出てきたり、オピオイドの乱用が問題になって
「オキシコンチン」に対する批判が高まってくねん。
投与量を増やすと、患者は短時間で禁断症状を感じるようになって、
また「オキシコンチン」を飲まなけあかんようになるから、本来の必要量以上に
処方されることになんねん。その耐性が限界に来ると依存症になるっていう
循環サークルができあがるわけやわ。
最終的に、パーデュ ファーマは「オキシコンチン」の販売で約350億ドル
(約5兆円)の収益をあげはったわ。
さ~て、ここからパーデュ ファーマは「オキシコンチン」に関して数千件におよぶ集団訴訟を起こされるねん。
2004年、薬の効果の持続時間が12時間とされてたのに、実際はそれより遥かに短い時間しか持続せーへんかって、虚偽のマーケティングを行ったとして提訴されたのを皮切りに、出るわ出るわ訴訟の嵐で、お決まりパターンのように、裁判所に出頭する前にお金払って和解を成立させてはってんけど、一切、自分の罪は認めへんでって
態度やってん。
そうこうしてる間に「オキシコンチン」の特許期限が近づいてきて、突然心変わり
したんか知らんけど、「オキシコンチン」は乱用の可能性低いって主張してFDAの
承認を得たのに、急に乱用されやすいって主張しだして、他の企業がこの薬を
再製造すんのは許可すべきやないってロビー活動を始めはってん。2013年にFDAはこれに同意し、再製造を禁止しはって、ジェネリック品は製造されへんかってん
けど、その代わり、パーデュ ファーマの「オキシコンチン」だけが市場に残った
ことになったわけやねん。
要は、競合他社は独自で開発した「オキシコンチン」のバージョンも
ジェネリック品も作ることができへんってことになるから、パーデュ ファーマに
とっては、さらなる独占販売を確保するための手口やったってことやわ。
2019年、パーデュ ファーマは会社の資産を守るため破産を申請しはってん。
2020年になっても、自分らが犯した不正行為を公に認めへんかって、
サクラー家が所有するイギリス, カナダ、ドイツ、シンガポールに拠点を置く
多国籍製薬会社ムンディファーマ(Mundipharma)を通じて、アメリカ以外の国で「オキシコンチン」を積極的に販売しようと企んだはって、結局うまくいかへん
かったんやと思ってたら、中国~イタリア、ドイツ~ブラジルと世界中で
ムンディファーマが「オキシコンチン」を販売していた実態が今年の9月に
アメリカ、ドイツ、ブラジル他、数か国の新聞やメディアに一斉に暴露されてたわ。
2021年7月、パーデュ ファーマは破産申請で、損害賠償として約80億ドルを
支払うことに同意しはってん。
その数か月後、パーデュ ファーマは解散し、サクラー家は強オピオイド鎮痛剤
「オキシコンチン」に関係する法的請求を解決するために、数十億ドルを
支払うことで和解しはってんけど、将来の訴訟における責任を免除されることと
引き換えやってん。
しか~し、2024年、最高裁判所は、その破産の和解を覆し、サクラー家の
メンバー自身が破産を申請してるんちゃうから、サクラー家がオピオイド被害者の
法的請求を回避することを許可する権限はないと宣言しはったってことやわ。
今現在もパーデュ ファーマは存在し「オキシコンチン」を販売したはるし、
サクラー家はムンディファーマを通じて世界規模で「オキシコンチン」を
売りさばき、結構な金額を稼ぎはってんけど、現在、そんなムンディファーマを
売却しようとしてるらしいわ。
「オキシコンチン」を含むオピオイドの依存症となり乱用した人は数百万人
(2017年は170万人)って言われてて、過剰摂取により死亡した人は、2022年で81,000人に達したって言われてるわ。
現在は、アメリカを中心にオピオイド依存症治療プログラムが依存症患者に
サポートされてんねんけど、サクラー家からは一切、プログラムを支援するための
寄付は行われてへんねん。
自分らが大好きな美術品やらが置いてある美術館とか博物館には、せっせと
多額の寄付をしたはんのにね~。