英訳版では、フェイクを作る技術の進歩に注目しましたが、受け手としての識別力を養うには何が必要でしょうか?イギリスの英文記事を読んでみます。

 

When studying news sharing on social media in the UK, イギリスのSNSでシェアされるニュース研究において、researchers Andrew Chadwick and Cristian Vaccari state that 研究者のアンドリュー・チャドウィックとクリスチャン・ヴァッカリはこう述べている。 " in today's media systems people may be more likely to encounter false and misleading information on a daily basis."「今日のメディアシステムの中で、人々は日々誤った、誤解を誘発する情報に出逢う可能性が高まっている」 The difference between trustworthy and untrustworthy news on public forums has become a frequently discussed and occasionally volatile topic over the last few years. 公的な場での信頼できるニュースとできないニュースの違いはこの数年よく議論され、時には対立を招く話題となっている。


日本語のSNSは英語ではsocial mediaと呼びます。日本語訳ではSNSに統一しています。

volatileとは爆発物のように危険性があり、人を傷つけるものを比喩的に表現する形容詞です。

 

Social media is an almost unavoidable part of our society now - can it be a trusted news source? Not always. 現在SNSは我々の社会で避けることのできない部分であるが、ニュースの情報源として信頼できるだろうか?そうとは限らない。Here are some ways to diffrentiate between misinformation and disinformation on social media, identify "fake news", and stay accurately informed.

ここでは、SNS上の誤情報と虚偽情報の識別法、「フェイクニュース」の定義、正しい情報を得るにはどうするかを述べる。


misinformationとdisinformationにはまだ定訳がないようです。後で参考サイトを挙げています。

 

When looking at what constitutes 何が「フェイクニュース」を構成するか考え、"fake news" and how it gets shared on social media,またそれがどのようにしてSNS上で広がるかを見る場合、 there are two kinds of false information to be aware of - misinformation and disinformation. 注意すべき誤った情報には2種類ある。それはミスインフォメーションとディスインフォメーションである。Researchers at Indiana University found these two types of information often go viral because インディアナ大学の研究者グループによると、この2種類の情報が爆発的に広がりがちなのには理由がある。

go viralとは、ネット上でウィルスのように急速に広がることを指す新しい言葉です。日本の俗語で「バズる」と言われる現象です。


information overload and users' finite attention span limit the capacity of social media to discriminate information on the basis of quality. 情報量の過剰とユーザーの注意力の限界で、SNSで品質に基づく情報の識別能力が制限されているからだ。


overloadは技術用語で、パソコンなどが処理可能なデータ量の限界を越えてしまい、正常に作動しなくなる状態です。もちろん人間でもそういう事態はあり得ますね。

 

Because social media is a public platform, anyone - including news outlets - can post anything without being accountable for fact checking.

SNSは公的空間であるため、ニュース発信者を含む誰もが、事実の確認に対し責任を負わずに何でも投稿できる。 It's left to users to distinguish misinformation vs. disinformation in their feeds. 自分のネット空間に載せられたミスインフォメーションとディスインフォメーションの区別は、受け手の側に任されている。

 (中略)


任されているとは、無責任この上ない状況だと思いますが、SNSの性質として避けがたい危険な側面ですね。見分ける能力がないのに委ねられても、フェイクに惑わされる結果になるのは明らかです。


この後ミスインフォメーションとディスインフォメーションの定義が語られます。重要な部分ですが長くなるので、こちらで確認してみてください。


端的に言えば、前者は悪意のない勘違いなどによる誤情報、後者は受け手を騙し、混乱させる意図的なデマを意味します。


Combating fake news on social media comes down to understanding the goals of fellow posters and of the platform itself. 結局のところ、SNSのフェイクニュースと戦うには、自分の周りの投稿者やサイトそのものの目的を理解することに尽きる。

comes down toはboil down to とも言い、問題の本質を結局これが重要だと指摘する表現です。

Social media platforms make money by selling user deta to ad companies, which is why you'll often see ads tailored to your interests or seach history. 

SNSのサイトは、ユーザーデータを広告会社に売って金を稼いでいる。だから受け手は多くの場合、自分の関心や検索履歴に合わせた広告を見るのだ。


知られている事実ですが見落としがちですね。何の興味も関心もないユーザーは存在しないので、好みがある限り、誰でもある種の片寄った情報を受ける結果になります。


tailorはもともとready-madeの反義語で、その人のサイズにあわせて洋服を作ることを指しましたが、何でも個人に適合させることを表すように意味が広がりました。

 

This is important to know for context. As an indivisual, being aware that the news you see on your feed is filtered based on previously collected deta can help you be more consious of your inherent bias. (後略)

文脈として知ることが重要だ。個人としては、自分の画面に現れるニュースが選別されていることに注意すべきだ。そのフィルターはこれまでに集めたデータに基づいており、注意すれば

自己に内在する偏りにより意識的になれる。


前提として間違っているとは言えなくても、偏りがあれば間違った判断に結び付きます。本や新聞であれば関心のない部分も自然に目に映るのに、ネット空間ではそれが難しいという事実に目を向けたいですね。


長くなりました。全文はこちらです。