私にとって学びは生きがいです。もしなかったら時間を持て余し、仕事にも就けず途方に暮れていたでしょう。

 

その一方で、多くの学生は嫌でたまらないと思っていそうです。

 

中学卒業後、すぐやれる仕事は何でしょうか?弟子入りできるというだけなら、職人の世界が思い浮かびます。身近なのは大工さんや左官屋さん、美容師、板前やコック、電気工事や自動車整備でしょうか?芸術方面や相撲もありますが、ものになる確率は高くないですね。何よりもその道が大好きで、どんな辛い修行にも耐えられる精神力がないと成功はできません。勉強が嫌いというだけで飛び込める甘い世界ではありません。

 

進学するのはただ勉強するだけでないメリットが大きいです。まず、進路を決定する時期を先延ばしできます。たいていの生徒は自分が何になりたいかわからないでもがいているので、高校大学の7年かけて探すのもいい方法です。

 

また、高校も大学も人脈作りに有効です。一流高校、大学ほど広い地域から人が集まって来るので、優秀で面白い友人がたくさんできるし、教授も第一人者がいていい影響を受けられます。

 

ただ就職率がいいだけで進学先を選んで嫌いな分野を専攻するのは残念です。総花的な学習は高校までで十分です。大学は自分の興味で選んだ方が結果的に充実した学生生活になります。

 

学びの世界は奥が深くて日進月歩です。毎日努力しても常に更新され、飽きることのない永遠の向上があります。自分が一番になったと感じても、常にそれ以上の人がいます。県で一位の進学校に行って首位になり、東大に行ってもそこには東大生を教える先生がたくさんいます。東大を首席で卒業しても世界には東大を超える大学があります。研究者となり業績を積んでもそこにはまだ指導者がいて、ノーベル賞を取る学者がいます。

 

さらに言えば職人や芸能の世界でも名人がいます。人間国宝がいます。他人の評価だけにこだわる必要はありませんが、最高峰に登る人の芸には絵画のような美しさがあります。

 

時々塾でも成績のいい生徒がいますが、かわいそうだなと思うこともあります。中学ですごく目立つ優等生でも、高校に行けばただの平均的な生徒になってしまう場合がほとんどです。それでは嫌だと思うなら、高校で競争、大学でも競争、就職でも社会でも厳しい弱肉強食の世界が待っています。

 

何が楽しいと思えるか、一生頑張れるのはどの世界か、自分を知るための時間が学生時代です。教科の学習、クラブ活動、友人との交流など全てが学びの場で、机に向かっていなくても成長の機会はどこにでもあります。

 

新しい世代にエールを送りたいです。