以下、多少長い記事になりますが、実体験から学んだあなたの健康に役立つ情報です。ぜひ最後までお付き合いください。

 

年を取ると、それまでの悪習の積み重ねにより、様々な形で身体の異変が表面化してくる。元気なうちはそのことに気づかず、じわじわと忍び寄ってくるから怖い。私はいまから5年ほど前、突然、大量の大腸憩室出血に見舞われた。幸い救急車で病院に緊急搬送され、一命を取り留めることができた。処置がもう少し遅れれば失血死するところだった。

 

その大腸憩室出血の原因として考えられるのは、若い頃からストレスによる便秘により大腸を傷つけてきたためだと思う。ほぼ半世紀の間、便秘と市販薬の服用を繰り返してきた。そしてある日の朝トイレで強く力んだところ、刺激性の漢方便秘薬の効果も手伝って、風船がパンクするように硬い大きな便の塊が飛び出すと同時に大量の下血に見舞われたのである。傷んでいた大腸の内壁が大腸内圧の急激な変化に耐えられなかったためだろうと思う。さらにそれを助長したのが、大腸にできた多数の憩室だった。憩室とは加齢による大腸のへこみのことである。多かれ少なかれ、年をとってくるとほとんどの人にこの大腸憩室が確認できるといわれる。憩室は大腸の壁の厚みが薄くなっているので外圧に対して弱いのである。

 

そして、大腸憩室出血以来、大腸ポリープ、皮膚のかゆみや湿疹、細菌性の前立腺炎、喘息等、つぎからつぎへとさまざまな病気に見舞われるようになってきた。おそらく、これらは傷ついた大腸の不調に起因しているのではないかと思うのである。

 

ここで、大腸の主要な機能について整理してみたい。

*    消化管内で残った水分を吸収する。これにより、糞便が固形化し、体内の水分バランスが保たれる。

*    電解質の吸収: 大腸はナトリウムやカリウムなどの電解質を吸収する。これにより、電解質バランスが維持され、体内の細胞機能が正常に保たれる。

*    便の形成と排泄: 大腸は消化されなかった食物残渣や細菌、死んだ細胞などを集め、糞便を形成します。そして、それを直腸を通じて体外へ排出する。

*    腸内フローラの維持: 大腸には多くの腸内細菌(腸内フローラ)が存在し、これらの細菌が食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸を生成することでエネルギー供給や免疫機能のサポートを行なう。

:* 免疫機能の補助: 大腸の腸内フローラは免疫系とも密接に関わっており、有害な病原菌の増殖を抑制する役割を果たす。

*    ビタミンの生成: 大腸内の細菌はビタミンKやビタミンB群などのビタミンを生成し、これらが体内に吸収する。

 

この中で、大腸が全身の免疫機能の大切な役割を担っていることについては一般にはあまり知られていなかったと思う。しかし、大腸は健康維持のための中核的な役割を担っていることが最近になって注目されるようになってきた。私の場合、便秘と市販薬の服用という悪習の継続により、大腸の機能が弱くなり免疫機能が弱くなったために、さまざまな病気に見舞われるようになったのだと思う。

 

そして、1年前の大腸内視鏡検診によりポリープが発見されたことを機に、腸内環境を整えるため本格的な生活改善に取り組んできた。いわゆる腸活である。本格的な生活改善の成果については後ほど紹介するとして、まず、昨年の大腸ポリープ切除後の大腸内部の写真の一部をお見せしたい。

 

          写真1

 

写真1は大腸の粘膜が黒く色素沈着している。いかにも不健康な色である。これは長期間、市販の刺激性の漢方便秘薬を服用してきたためである。病気ではないそうだが、やはり大腸を傷つけないはずはない。市販の刺激性の漢方便秘薬の継続使用は危険である。便秘と軽くみないで医者に相談して欲しい。

 

            写真2

 

写真2は、憩室内の左側面にポリープを確認することができる。担当医によると憩室内にポリープができるのは非常に珍しいという。そのほかにも3つのポリープが発見されたがこれについては内視鏡により切除した。この3つのポリープはいずれも将来大腸癌に進行する可能性のある線種だった。しかし憩室内のポリープだけは簡単に切除できないという。そこでとりあえず1年間の経過観察ということになった。いつ癌に進行するかもわからないその間の不安たるや、その身にならないと理解できないのではないだろうか。なお、写真2はポリープを確認しやすくするために、画像処理により通常とは異なる緑色に変色してある。

 

 そして1年が経過し、先日大腸内視鏡による再検査となった。その結果、(クリニックから写真をいただいていないのでお見せできないのは残念だが)色素沈着はなくなり粘膜はピンク色の健康色に改善していた。さらに驚くことに、憩室内のポリープも自然消滅していたのである。この1年の間、心を覆ってきた雲が一気に晴れたように不安が解消した。

 

さらに驚くことに、過去30~40年の間悩み続けてきた高コレステロールの改善も見られた。高コレステロールについては考えられるあらゆる治療を試みてきたが何をやっても改善せず、年を重ねるごとに値が上昇してきた。そして8年前、ついに医者に薬を処方していただいたところ、短期間に劇的に改善した。しかし、問題はその副作用である。違和感のある倦怠感が襲ってきたのである。そのため医者に相談して薬の服用を中止した。そして今回の大腸内視鏡検査の際に行った血液検査の結果、意外にも生まれてはじめてコレステロールの大きな改善が見られたのである。

 

調べてみると、大腸は、腸内細菌や食物繊維の働きにより、コレステロールの代謝と排泄に影響を与え、体内のコレステロールレベルを調節する一助となるという。つまり、大腸の健康状態や腸内フローラのバランスは、コレステロールの管理において重要な役割を果たすのである。コレステロールの調節において大腸が果たす役割については一般にもっと広く知ってもらうべきではないかと思う。

 

つぎにこの1年、どのような腸内環境改善に取り組んできたかを紹介したい。

 

*    市販の刺激性の漢方便秘薬の服用を一切中止し、クリニックで処方された薬(ビオフェルミン錠)を服用した。ビオフェルミンは腸内細菌を増やすものであり副作用はない。その結果、自然な通じができるようになった。

*    特に朝食は、善玉の腸内細菌の増殖に効果があるといわれる食べ物、例えば、山芋、野菜、トマト、ブロッコリー、レタスといった野菜中心にしている。飲み物として、牛乳、豆乳、ヨーグルト(ヤクルト400W)、オリゴ糖、リンゴ、バナナ、ショウガ等をミキサーで撹拌して飲んでいる。

* 甘いものや肉類(特に加工肉)はなるべく控えた。

* その他、免疫賦活剤と言われるルミン錠やニンニクのサプリメントを服用した(注:ルミン錠は高価な医薬品であるが、医学的な根拠がはっきり示されていない。しかし、個人的にはその効果を確認している。)

*    週末のサイクリングなど努めて運動をしてきた。

 

その結果、子供の頃から60年ぶりとも思えるような快適な便通を取り戻すことができたのである。体調もよくなってきているように感じる。そして週末は再び20ー30kmのサイクリングを楽しめるようになってきた。

 

まとめ

大腸は全身の健康維持のために極めて重要な役割を担っています。

・健康を維持するためには腸活が極めて大切です。自分の体を過信せず日頃からいたわってあげましょう。

・便秘は万病のもと。長く続くようであれば、市販薬に頼らず医者に相談しましょう。最善の薬を処方してもらえます。

・「継続は力なり」と同時に「悪習は破滅への道なり」。

何事も好ましい生活習慣を身につけることが大切です。食べ物だけではありません。心身両面で健康な生活を続けるように心掛けましょう。

 

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