画像:出典:日経Good day

 

サブリミナル効果とは、人間が意識として知覚できないような非常に短い時間に刺激したり、刺激を非常に小さくしたりして、人間の潜在意識に影響を与える効果である。サブリミナル効果については、いまだよく解明されていないようである。サブリミナル効果をもたらす画像や音声は、意識としては知覚できないが、視覚や聴覚の細胞はその画像や音声を知覚していることは間違いないと思われる。そして、それが脳内に潜在意識として蓄積され、しかるべき処理が施されたのち、意識として人間の感情や行動に影響を及ぼしていると思われる。

 

私が、いまなぜサブリミナル効果に興味を持ったかというと、音楽の世界において、人の心を惹きつける非凡な歌唱や演奏には、意識として聞こえていないところにも何か秘密が隠されていることがあるのではないかと考えるからである。すなわち音楽の意識として現れない表現能力は、音楽の才能とも深く関連しているのではないと考えるのである。2019年9月、「NHKスペシャル_AIでよみがえる美空ひばり」と題して、美空ひばりの非凡な歌声を再現するドキュメンタリーが放映された。この中で、美空ひばりの歌声には、現代科学をもってしても容易には解明できないような、ある特徴があることが初めて明らかにされた。視聴者の脳は、美空ひばりの歌声の魅力を無意識に感じ取り共鳴しているのである。さらに他の例を挙げると、音楽に通じた人にはアナログ音楽をこよなく愛する人が多い。これは、アナログ音楽に含まれる人間の可聴域を越えた周波数の音声を無意識に感じ取っているからではないだろうか。つまり、音楽はまさに我々の潜在意識に働きかけている典型例ではないかと考えるのである。優れた音楽を作ったり、演じたりするには、人間の耳に聞こえないところや、よく聞き取れないところであっても軽んじてはいけないということだろう。


さて、つぎに紹介する、私のクロマチックハーモニカの演奏はいかがでしょうか。凡人にサブリミナル効果など期待できるはずもないですが、心だけは一生懸命に込めて演奏したつもりです。1967年にミシェル・ローラン(Michel Laurent)が作詞・作曲したシャンソン、『サバの女王(La Reine De Saba)』を演奏してみました。よかったらお聴きください。