サスペンス劇場の住人から無事現実世界に戻って来た義母
食事も普通食に戻り体力もメキメキ戻って来ました
あれも欲しい
これも欲しい
もっと欲しい
もっともっと欲しい
と面会に行く度に買い物を頼まれました
「貰い物の新品のパジャマが押入れの引き出しにあるはずだからそれを持って来て」
「斜め前のベッドにいる人が持っているような小さな手提げが欲しいの」
「食堂に行く時羽織りたいから、半袖のカーディガンでポケットがついてるものを買ってきて」
(オッケーオッケー、お安い御用です)
「わかりました!次来る時に持ってきますね」と
入浴セットを3回分準備して洗濯物を引き取り、そのまま義母の家へパジャマを探しに行きました
義母の部屋の押入れの引き出しには服や下着はあるものの、パジャマは入っていませんでした
居間の押入れの引き出しにはタオル類やシーツ等の贈答品と思われる新品が何段にもぎゅうぎゅうに詰まっていて、その中からパジャマも発見
しかし取り出す前から「お義母さん…これ着るつもりなの?」と思わずにはいられないデザインに面食らう
胸元には大量のフリル、透け感があり過ぎる薄い生地の…ネグリジェと
ハートマークが散りばめられた柄に大きな黒猫のアップリケがついた半袖のパジャマと五分丈のズボン
これっていつもらった物ですか?
他にもあるかも知れないと引き出し全部出して中身をくまなく探しましたがパジャマらしき物はこの2着だけ
義母が私に持って来て欲しいと思っているパジャマがこの2着のどちらでもない事は趣味や気が合わない私でもわかる
しかし所詮私は他人
義母との付き合いが長い夫にこの2着の写真を送りつけて聞いてみた
「お義母さんはこのパジャマを着ると思う?」
返事を待つ間にもう一度義母の部屋の引き出しも点検し、念には念を入れて亡くなった義父の部屋の箪笥の中も探してみた
私の祖母が寝る時に着ていたような浴衣なら見つかったがパジャマもネグリジェも見当たらなかった
病室であの2着を着るぐらいなら浴衣の方がずっとまともに思えるよ
夫から返事が来た
「着るとは思えないなぁ…これアナタのパジャマ?それとも母用に買ったの?ちょっと母には派手じゃない?」
だよね、着ないよね
うん、そこは意見が合って良かったよ
夫の目にはこの2着がちょっと派手ぐらいにしか見えてない事と
私の物と思われた事や
義母にこんな趣味の悪い物を買うようなセンスをしていると思われた事に驚きですよ
翌日、義母にこの2着を持って行ったら
「これ織さん(私の名前)のパジャマなの?少し私には派手じゃない?いい年してって思われるわ、恥ずかしくて着れません」
と言われました
お義母さんの押入れの引き出しに入っていましたと言っても
「そんなわけ無いじゃない!もっとちゃんとしたパジャマがあったはずよ」
と信じてもらえませんでした
やっぱりお義母さんもこの2着を変だって思ってるのね
そして親子してこの変なのが私の物って思うのね
それよりも何よりも少し派手じゃねーよ
スケスケのネグリジェ着た義母がベッドに横たわってるなんてサスペンスどころかホラーだからね
結局病院内にある売店で売られていた可もなく不可もない花柄のパジャマを買いに行かされ
「これでいいのよ。こう言うの持って来てって頼んだのに、織さんったらあんな使えない物持って来て」
キィィィ
あれはお義母さんの家にあった物ですからね!!!
お義母さんの知り合いの方のセンスですから!!!