何年か前のラテンビートフィルムで見たこの「El violin」
(哀しみのバイオリン)。
映画館で見た時にすごく感動して、それ以来もう一度見たくて仕方なかったのですが、youtubeにこの映画がまるごとアップされているのを見つけて、もう一度見ることができました。

多くの国際的な賞をとったというこの2006年のメキシコ映画は、反政府ゲリラを支援する農民が主役です。
1970年代のメキシコの農村が舞台となっています。
そこに住むプルタルコおじいさんとその一家は、農民です。
時折、プルタルコおじいさんは、息子や孫と一緒に街へ行き、バイオリンをひいてはお金を貰っていました。
街にでるのには他にも理由があって、ゲリラ組織のための武器を揃えるため、ということもありました。
プルタルコおじいさんたちが街から帰ってくると、彼らの村が政府軍に襲撃されていました

その村は焼き討ちにあい、村人は山の中へ逃げるしかありませんでした。
その村のとうもろこし畑の中に隠した武器などもそのままで。。。
その武器を取り戻すため、何も知らない農民を装い、プルタルコおじいさんがバイオリンをかつぎ、ロバに乗って、政府軍が陣取る村へと向かいます

政府軍の司令官におじいさんのバイオリンが気に入られ、毎日バイオリンをひきに政府軍のもとへ通うことになります

何か楽器を習いたくても、父を幼い頃に殺されたために習うことができなかった政府軍の司令官。
そんな彼に、そんなに音楽が好きならバイオリンを教えてあげよう!とプルタルコおじいさんは言います。
そんな申し出に、司令官は目を輝かせます。
音楽が流れているときだけは、他の兵士たちも心が休まるときのようでした。
徐々に信頼を得ていったプルタルコおじいさんは、自分の畑の手入れをすることを許され、隠してある弾薬を少しずつ持ち出していきます

が、、、最後は見つかってしまうんです。。。
バイオリンという音楽を通して、敵の政府軍とプルタルコおじいさんは心を通わせたかのようでしたが、結局最後は、また敵同士になってしまうんですよね。。。
バイオリンをひいてくれるこのおじいさんのことを、政府軍の司令官も一目おいて、信頼していたかのようでした。
この映画を見て、この司令官も政府軍の兵士たちも、一人一人が、プルタルコおじいさんのように同じ人間だということ、ただ、入った道が違っただけで、敵同士になってしまっただけなんだと感じました。
同じ国に住む人間なのに、どうしていがみあったりしなくてはいけないんだろうと、思わずにはいられません。
これは昔だけの話しではなく、今も貧困に苦しむ農民の人たちがたくさんいます。
この家族が街からバスで帰ってきて、自分たちの家のそばでバスを降りたとき、そこは、何もない山道でした。
実際に、メキシコやグアテマラでバスに乗っているとき、何にもない山道でバスを降りる人や、乗り込んでくる人がたくさんいるんですよね。。。
この人たち、一体どこに住んでいるんだろう。。。と思うことがよくありました。
今でも、土地を持てない人たちがたくさんいます。
世界で一番お金持ちの人がメキシコ人だということですが、その一方で貧困に苦しむ人がいます。
この格差はあまりにも大きすぎると思わざるをえません。。。
今では、激しいゲリラ戦はなくなったようですが、今でも戦いは続いているように思えます。
白黒映画のこの「El violin」ですが、色があるように見えるんです。
言葉は少ないけれど、心にじーんとくる映画で、いろんなことを考えさせられる映画でした。
機会があったら、ぜひ見てみてくださいね。




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