カフェに行くときは、必ず小さめの本を持っていくのですが、この間、手に取ったのがこの本
「グアテマラ ある天使の記憶」
ダニエル・エルナンデスーサラサール写真集
グアテマラ ある天使の記憶―ダニエル・エルナンデス‐サラサール写真集
¥1,575
Amazon.co.jp
前に買っていたけど、パラパラとしか見ていなくて、やっとじっくり見ることができました
グアテマラに興味のある方には、こちらの本が頭に浮かぶんじゃないかと思います
グアテマラ虐殺の記憶―真実と和解を求めて
¥2,940
Amazon.co.jp
こちらはグアテマラ内戦の本なのですが、その表紙にこの天使の写真が使われていました
この天使の羽は、虐殺された人の肩甲骨でできています。
「グアテマラ虐殺の記憶」は、グアテマラのカトリック教会が中心となって、長く放置されてきた人権侵害被害者の証言を収集した「歴史的記憶の回復プロジェクト」(REMHI レミー)の調査結果をまとめたものです
その中心人物のヘラルディ司教は、当時、軍からの弾圧がひどかったキチェでの司教を務めており、そのキチェでの虐殺の実態を知らしめようとした人でした。
司教区を閉鎖してまで、世論に訴えても、軍によるマヤ民族への殺戮はとどまることがありませんでした
そして、このレミーの調査結果を公表した数日後、ヘラルディ司教は顔面が識別できなくなるほど、セメントブロックで殴られ、暗殺されました。
グアテマラではいまだに、内戦時の犯罪者がその罪に問われることなく生きています。
内戦時、ゲリラ一掃を口実に、マヤ民族虐殺を指示したリオス・モント将軍が、2003年に大統領選に出馬できるほどです。
この人の顔を見ると本当に身の毛もよだつほど恐ろしい気持ちになります。。。
この写真を見て何を感じますか?
先にあげた写真集は、この天使の写真を撮った写真家によるものです
この写真家たちは、グアテマラの人々にとって、内戦の象徴であるこの天使のポスターをグアテマラの街中のあちこちに貼りつけたといいます
夜中、ゲリラ的に現れて、こっそりこのポスターを貼っていくという作業
すごく危険なことだったと思います。
政府に関係する場所に貼られたこの天使は、3日後にはキレイサッパリ剥がされていたそうです。
ある天使のポスターの下には、ヒモで結わえられた石がおかれていたそうです。
その石の形がヘラルディ司教の暗殺を思わせたと写真家は言います。。。
グアテマラの街中に貼られたポスターのその後を、この写真家は何度も巡回して見て廻ったそうです
人々はこのポスターを見て何を思うのでしょうか。
この写真集の中では、デモに参加するグアテマラの人々もでてきます。
いつもは活字で追っていく内戦の様子や傷跡を、この写真集では人々の表情から見てとることができました。
ヘラルディ司教暗殺2日後、抗議のための「沈黙の行進」で、人々は手に手にこの天使の写真を持って、デモを行いました。
その中には、ノーベル平和賞を受賞したリゴベルタ・メンチュウの姿もありました。
みんなの神妙な悲しげな表情が何とも言えません。。。
そうやって簡単に暗殺されてしまう世の中にあっても、人々が勇気を持って、社会に訴えていくことがどれだけ大切なことなのか、この写真集を見て、また再認識することができました。
マヤの人々は強いですね。
自分たちの大切な人を殺され、恐怖がある中で、それでも立ち上がる力を持っています
そんな恐怖に直面したら、、、そのまま死んでしまうか、立ち上がるかしかないのなら、立ち上がる方を選べるでしょうか
恐怖から沈黙せざるを得ない人々に、この天使を見て声を発することが大切だと、この写真はみんなに訴えていくのでしょう
誰が見ても、これはあの写真だと共有できる気持ちが、少しずつ大きくなって、いつか声を大にして言える平和な世の中が一日も早くやってきてほしいと思います
久しぶりに心に響いた写真集でした
ランキングに参加中です。
応援クリックをお願いします
にほんブログ村
グアテマラ&メキシコ民芸雑貨アルテサニア・マヤ