サガン鳥栖 vs アビスパ福岡

2024年6月16日 0−2 

 

ダービーの完敗と敗戦の意味。

まだ18節。しかしもう折り返し地点。

ここから劇的によくなる可能性は0ではない。

しかしそれは「もともと良い選手がいるはずなのに」機能していないチームや、

「代表選手が抜けてたから」など、理由があって低迷しているチームの話。

 

**福岡戦の辛口全選手レビューはこちら**

https://www.youtube.com/post/UgkxUpkjxgZaAh0iv42uKnS86lw2dYORAAtN

 

 

鳥栖は元々のチーム力の総和は高くはない。

それでも組織力、とりわけボールを奪うところで強みを出してきて

近年のJ1を生き残ってきた。

 

豊田がいた、というエクスキューズはあるが、

豊田が去った後もJ1に残れたのは、マイボールにする力、そこがJ1でも上位だったから。

 

今年の福岡は、別にシュートが多いわけでも決定力が高いわけでもない。

ボールを奪うエリアを、序盤は一番後ろに設定していて(普段はそっちが多い)、

思いの外鳥栖が運ぶのが上手かったり、最後のエリアでアイディアを出されそうで

怖いシーンが続いた。

 

だからボールを奪うエリアを前にあげた。

今年の福岡はボール奪取力がず抜けている。

自分たちが「ここで奪いたい」というところでかなりの確率で奪えている。

 

攻撃数値が鳥栖と大差ない中で勝ち点を拾えている理由だ。

そして鳥栖は嫌な位置で奪われ始めた。

 

これが前半途中から急に流れが変わった理由。

福岡が少し前から圧をかけたら、途端に活きたボールが前に出なくなる。

そうするとボランチも降りてきて手伝いにくる。

みんな「後ろからのビルドアップ」を上手く活かせれば

前がゴールできると信じている。

 

実際には、ゴールに近いエリアに鳥栖の選手の人数は減っていて、

ゴールする確率は下がっているのに、だ。

 

今日の鳥栖は福岡の前プレが発動してからは、

いわゆる縦ポンサッカーをやっていたに等しい。

 

縦ポンするタイミングがとても悪かった、が。

 

そしてヒアンはそういうタイプではない。

ワンチャン富樫くらいか。

 

そんな中で蹴っては回収され、を繰り返し、

対して攻撃性能の高くない福岡に17本のシュートを打たれた。

 

これはもう鳥栖の構造的な問題と言って良い。

圧を受けて、隙間から前に出せないのなら、

「後ろで引きつけるサッカー」なんて出来るわけがない。

 

ここから20試合。

死に物狂いで「勝ち点1でもいいから」奪い合う試合が始まる。

 

その時に、1点をどうにか強引に奪う。

1点をどうにか守り切る。

 

その瀬戸際拠り所となるモノはあるか?

ここからはそういう試合になる。

 

別にポゼッションだ、カウンターだって話ではない。

フォーメーションの数合わせの議論ですらない。

 

ただ、単に、一番苦しい時に 誰を頼る?

どこを強みとする?

 

そんなレベルの話だ。

 

ダービーの負けは重い。

サポそれぞれに10年、20年の思いがあるから。

そりゃ選手より重いのは当たり前だ。

 

ただ、勝ち点は同じ「3」にすぎない。

そのくらい、飄々としつつ、しかしプライドを持って、

「勝てばいいんだろ!」くらいの気概も必要だ。

 

重い負けだ。

 

しかしその重りを背負って

次の試合、走れなくなるほど重いものならば捨ててしまえ。

 

そんな「責任」なんて背負わなくて良い。

 

ただ、

 

誰よりも必死に勝ち点を奪いに行け!

その姿を見せてくれさえすれば、

ダービーを背負う意味など後から付いてくる。

 

歴史とはたった1試合の積み重ねの先にしかない。

今日の試合で誰かの犯人探しなどしたくないし、そんな事に意味はない。

 

ただ、11人全員が同じ方向を向いて、

 

「鳥栖とはこうだ!」

 

という意思を持って最後まで戦っていたようには感じられなかった。

迷いが見えた。困惑を感じた。

僕にはそれが残念だ。