2016年1月9日 高校サッカー準決勝

東福岡 VS 星稜 2-0


~星稜の”心”を折った えげつない攻め


東福岡は オーソドックスな4-4のラインに
10番の中村がフリーマンとしてチャンスに絡む形。

守備で、縦のボールが入るとかならず一人がアタックに行く。
横にずらされると、付いていくか、
一人が下がり、また横の選手が縦にプレスにいく。

少しでもボールが遅いと
2人で囲い込み奪ってしまう。

さすがのプレスを見せた。

それでも最後のところは星稜も身体を張って守っていた。
さすがに星稜もここまで残っただけあって
プレスバックの早さ、当たりの強さで何とか粘り
これは1点が遠い試合になりそうな気がしていた。



そこで、東が見せたエゲツない攻め。


基本的に東ほど技術があれば後ろから繋ぐのだが
前には餅山という高さを備えたFWもいるため
厳しい場面ではロングボールも入れていた。

このロングがエグかった。

いくつかサイドや後ろで繋ぐと
両サイドの後ろのスペースにめがけてとにかく蹴る。

これで星稜は全体が下がらせられる。
そこにさらに前プレで相手のミスを誘う。


後ろから難しく繋ぐよりも
さっさと敵陣の、しかも取られてもリスクの少ないところに放り込む
そしてそこへのプレスで相手の深い位置で奪ってしまう。

この繰り返しで星稜は体力も精神力も奪われていった。


ちなみに得点となったシーンのキモも両サイド。


前半から両サイドの11番と8番は
得意のドリブルでがんがん仕掛ける。

左利きを生かしての特長あるドリブルで前に前に行きまくる。
そこからのクロスで餅山の高さを生かすのが一個目の攻撃。

そして、縦に縦に行った左サイドからのクロスに
餅山が囮となり、ボランチの6番が飛び込んで見事な先制。



そして、さらに後半。


東の勝負強さ、そして冷静さが際立ったのが2点目。

それまで縦に縦に行っていた右サイドで、
急に方向転換し、横に繋ぐ

日本代表なら「また、クロス上げないでやり直しか・・・」
と叩かれるシーンだが、
ここまで散々仕掛けたからこそ、意表をつかれた。

そして横に繋いで繋いでまたもボランチから4番が走りこみ
見事なミドルを決めて2-0


サイドから縦突破のクロス
餅山への一発ロング
繋いでのボランチのミドル

それでもだめだったらこの日は繋がらなかったが
10番の中村は一人リズムの違うサッカーをしていて
彼のスルーパス、決定的なパスもまた得点に繋がる可能性があった。


単純な4-4のラインでの守備から
オーソドックスなサイドの仕掛け
そしてボランチからの飛び込みに
10番のファンタジスタ然としたスキルフルな攻撃


どれが良い、というわけではなく
試合の展開の中で、これだけの選択肢があるということが
強さの秘訣だろう。


そして8番、11番は2点差がついてからは
技術の魅せ合いに終始。

強引なドリブルで相手を嫌がらせていたが
こうなってからは決定機にミスが増えた。

やはり こうくる!と分かってる攻撃は止められる。


この多彩さと、割り切った両サイドへの 
  
 正しいミスパス


これが東の強さだと感じた。


最後に4番の 鍬崎について



ブスケッツか、と言わんばかりの
ポジションの正確さと
平然と当たりかって奪ってしまう技術

そして簡単に見せる縦パスと
両サイドへの的確なチラシ。

目立たない中でも
彼の貢献はもっとも素晴らしかった。



これで2年だから恐ろしい。
これから注目したい選手だと感じた。


なお目立ちまくった両サイドでは

11番の子はまだ、我が強く、やや強引な印象。
8番の子は、冷静で周りが見えるが、
シュートのタイミングが正直すぎて
なかなか決まらない印象。

まだ8番のほうが好みでした。

そして10番の子。
彼もまた、「異能」の持ち主だと実感。

自分の空間でプレーしていた。

それがどれだけ試合の結果に還元できるか?
それがこれからの課題だろう。

何にせよ、これだけのプレスの正確さと
攻撃の多彩さを見せてくれた東福岡に拍手