2015年 Jリーグ CS決勝 第1戦
G大阪 VS 広島 ２－３（長沢,今野、 ドウグラス,佐々木,柏）
ドラマよりも劇的に・・・
試合を支配したのは広島。
我慢くらべでは負けを知らない広島が
じっくり回して、ガンバの得意な攻撃をさせない。
宇佐美は後半に入るとより、FW的にプレー。
前線で「待つだけ」のプレーが多く
アイディアや技術の高さは感じるが、
気持ちが切れると怖さがなくなる。
象徴的なプレーは、バックヒールで繋げようとして
繋がらず、座り込んだ場面。
時間にしてわずか1秒。
しかし確実に彼は座り込み、機嫌を損ねていた。
まだ試合は続いているし、相手のカウンターの危険もあった。
そこを乗り越えないかぎり宇佐美はあと一段上には行けないかもしれない。
サッカーとは不条理のスポーツである。
それを耐えて乗り越える美学は美しい。
そしてガンバの攻撃を抑え、
今日のガンバ大阪は前線からすさまじいプレッシャーを賭けていた。
それをかいくぐりワンチャンスを狙う広島。
ミキッチ、清水を走らせて両サイドからえぐる。
そんな耐えて耐えて自分たちのペースだった広島に悪夢が起きる。
佐々木のバックパスを、千葉と森崎がお見合い。
お互いにどっちかが取る、とふわっとした一瞬に
この日 初めて先発期用された長沢が走りこむ！
彼は必死に前線で起点となり、上手くはないものの
ポストプレーと前からのプレスを愚直にこなしていた。
その正当な報酬として彼の目の前にこぼれたボールを
ダイレクトで蹴りこんで １－０．
見事な先制。
その後、浅野を投入していた広島に対し
大阪は 大森に変えて倉田。
小柄なドリブラーである彼は
宇佐美がもどらない トップ下の空いたスペースを埋めるべく
動きまくった。
対する広島も疲れのみえるミキッチに変えて柏を投入。
サイドのスペシャリストである柏。
個人的には日本で一番嫌なサイドアタッカーだと思っている。
彼が入った右サイドはドリブルに、クロスに、確実に
ガンバを追い詰めていった。
そして後半35分
浅野が抜け出したボールに俊足を生かしてGKまでもかわす！
しかし ほとんど確度のないところから無理やりに撃ったシュートは
正確な技術で、しかし、、、ポストに跳ね返される。
そこに走りこんだのは柏！
ゴールやや右サイド、PA内の絶好のこぼれ球。
左足で巻いてけるのがセオリーだが、
彼は自分の 「右足」を信じた。
テクニカルな、けれど強い意思のもとに
右足アウトサイドで狙ったシュートは
完全に枠の外へと向かっていた・・・
強烈なシュート
それを異常な反応で頭にぶつけ、コースを変えて
ゴールへと導いたのはドウグラスだった。
誰も反応できない。
魂のこもったシュートと反応。
すばらしいゴールで１－１の同点。
歓喜に沸く広島を尻目にガンバの遠藤は冷静だった。
その直前に投入されたパトリックがFKから何度もフリーになっていた。
再開直後のFK
またもパトリックを狙うか？
なんとか広島が跳ね返した先には、今野！！
ダイレクトで蹴りこんで一瞬のうちに２－１と勝ち越し
まさにサッカーのドラマ。
しかしドラマはまだ終わっていなかった。
ガンバのオジェソクが清水ともつれてファールを受ける。
清水にイエローカードが出されるほどのファールであったが
彼は、その後激高し、清水を突き飛ばす・・・
明らかにプレー外での暴力行為・・・
退場処分となった彼の眼は何かに憤っているようだった。
そこで何があったかは分からない。
けれどスポーツの正当性という点では明確な反則であった。
そして、年間３位のガンバが
その運動量と気迫でもって立ち向かい
１位の広島を倒す
そのシナリオは瞬く間に書き換えられた。
広島の先制点の原因となった佐々木。
サイドからのクロスを誰よりも高く、強く。。。
ヘディングでゴールに突き刺し、広島がまたも追いつく
退場が出ていたとは言え、残り時間はもうない。
ガンバからしたら、ロスタイムの悲劇・・・
それでもあと数分あるかもしれない
その時間に両チームは「勝利」だけを目指した。
引き分けでも良い
そんな空気は微塵もなかった。
冷静なサッカージャーナリストからは批判されるかもしれない。
退場者がいたガンバからすれば、冷静に引き分けでも良かったと。
それでも勝利だけを目指したからこその
熱気、そして熱量がそこにはあった。
それに素直に感動しても良いかもしれない。
ゴールを決めた佐々木は歓喜の雄たけびをあげ、
天に向かって咆哮した。
そんな広島の選手の気迫は
我慢比べをして、後ろでいやらしいほどパスを回し
青山からの一気のカウンターで仕留めてしまう
そんな冷静なチームのソレではなかった。
それは百戦錬磨のガンバの遠藤や今野でさえも同じであった。
勝利を目指した結果。
ガンバのスローインになったとき、
今野はすばやく少しでも早く前線に繋ごうとした。
それを奪った広島は清水が縦に突破する
素晴らしいスピードで抜き去り中央へ！
これをドウグラスがまさかの空振り・・・
続いて拾ったシュートもガンバのDFが何とか防ぐ
ほんの一瞬だが
気持ちのこもった攻防・・・
そしてこぼれた先には、柏が居た。
大阪の夢と希望の全てを打ち砕くべく
振りぬいた右足は
今度は確実にゴールに突き刺さった。
こうして万博の夜は終わった。
＊＊＊＊
技術の高低だけじゃない
レギュレーションに対する不満はまだある
それでもこの日見せてくれたサッカーは
確実に見るものを感動させ、
そして何かを残していってくれたと思う。
12月5日土曜日
次の試合で全てが終わる。
歴史的な一戦となったこの日の試合。
”サッカーは小説よりも奇なり”
G大阪 VS 広島 ２－３（長沢,今野、 ドウグラス,佐々木,柏）
ドラマよりも劇的に・・・
試合を支配したのは広島。
我慢くらべでは負けを知らない広島が
じっくり回して、ガンバの得意な攻撃をさせない。
宇佐美は後半に入るとより、FW的にプレー。
前線で「待つだけ」のプレーが多く
アイディアや技術の高さは感じるが、
気持ちが切れると怖さがなくなる。
象徴的なプレーは、バックヒールで繋げようとして
繋がらず、座り込んだ場面。
時間にしてわずか1秒。
しかし確実に彼は座り込み、機嫌を損ねていた。
まだ試合は続いているし、相手のカウンターの危険もあった。
そこを乗り越えないかぎり宇佐美はあと一段上には行けないかもしれない。
サッカーとは不条理のスポーツである。
それを耐えて乗り越える美学は美しい。
そしてガンバの攻撃を抑え、
今日のガンバ大阪は前線からすさまじいプレッシャーを賭けていた。
それをかいくぐりワンチャンスを狙う広島。
ミキッチ、清水を走らせて両サイドからえぐる。
そんな耐えて耐えて自分たちのペースだった広島に悪夢が起きる。
佐々木のバックパスを、千葉と森崎がお見合い。
お互いにどっちかが取る、とふわっとした一瞬に
この日 初めて先発期用された長沢が走りこむ！
彼は必死に前線で起点となり、上手くはないものの
ポストプレーと前からのプレスを愚直にこなしていた。
その正当な報酬として彼の目の前にこぼれたボールを
ダイレクトで蹴りこんで １－０．
見事な先制。
その後、浅野を投入していた広島に対し
大阪は 大森に変えて倉田。
小柄なドリブラーである彼は
宇佐美がもどらない トップ下の空いたスペースを埋めるべく
動きまくった。
対する広島も疲れのみえるミキッチに変えて柏を投入。
サイドのスペシャリストである柏。
個人的には日本で一番嫌なサイドアタッカーだと思っている。
彼が入った右サイドはドリブルに、クロスに、確実に
ガンバを追い詰めていった。
そして後半35分
浅野が抜け出したボールに俊足を生かしてGKまでもかわす！
しかし ほとんど確度のないところから無理やりに撃ったシュートは
正確な技術で、しかし、、、ポストに跳ね返される。
そこに走りこんだのは柏！
ゴールやや右サイド、PA内の絶好のこぼれ球。
左足で巻いてけるのがセオリーだが、
彼は自分の 「右足」を信じた。
テクニカルな、けれど強い意思のもとに
右足アウトサイドで狙ったシュートは
完全に枠の外へと向かっていた・・・
強烈なシュート
それを異常な反応で頭にぶつけ、コースを変えて
ゴールへと導いたのはドウグラスだった。
誰も反応できない。
魂のこもったシュートと反応。
すばらしいゴールで１－１の同点。
歓喜に沸く広島を尻目にガンバの遠藤は冷静だった。
その直前に投入されたパトリックがFKから何度もフリーになっていた。
再開直後のFK
またもパトリックを狙うか？
なんとか広島が跳ね返した先には、今野！！
ダイレクトで蹴りこんで一瞬のうちに２－１と勝ち越し
まさにサッカーのドラマ。
しかしドラマはまだ終わっていなかった。
ガンバのオジェソクが清水ともつれてファールを受ける。
清水にイエローカードが出されるほどのファールであったが
彼は、その後激高し、清水を突き飛ばす・・・
明らかにプレー外での暴力行為・・・
退場処分となった彼の眼は何かに憤っているようだった。
そこで何があったかは分からない。
けれどスポーツの正当性という点では明確な反則であった。
そして、年間３位のガンバが
その運動量と気迫でもって立ち向かい
１位の広島を倒す
そのシナリオは瞬く間に書き換えられた。
広島の先制点の原因となった佐々木。
サイドからのクロスを誰よりも高く、強く。。。
ヘディングでゴールに突き刺し、広島がまたも追いつく
退場が出ていたとは言え、残り時間はもうない。
ガンバからしたら、ロスタイムの悲劇・・・
それでもあと数分あるかもしれない
その時間に両チームは「勝利」だけを目指した。
引き分けでも良い
そんな空気は微塵もなかった。
冷静なサッカージャーナリストからは批判されるかもしれない。
退場者がいたガンバからすれば、冷静に引き分けでも良かったと。
それでも勝利だけを目指したからこその
熱気、そして熱量がそこにはあった。
それに素直に感動しても良いかもしれない。
ゴールを決めた佐々木は歓喜の雄たけびをあげ、
天に向かって咆哮した。
そんな広島の選手の気迫は
我慢比べをして、後ろでいやらしいほどパスを回し
青山からの一気のカウンターで仕留めてしまう
そんな冷静なチームのソレではなかった。
それは百戦錬磨のガンバの遠藤や今野でさえも同じであった。
勝利を目指した結果。
ガンバのスローインになったとき、
今野はすばやく少しでも早く前線に繋ごうとした。
それを奪った広島は清水が縦に突破する
素晴らしいスピードで抜き去り中央へ！
これをドウグラスがまさかの空振り・・・
続いて拾ったシュートもガンバのDFが何とか防ぐ
ほんの一瞬だが
気持ちのこもった攻防・・・
そしてこぼれた先には、柏が居た。
大阪の夢と希望の全てを打ち砕くべく
振りぬいた右足は
今度は確実にゴールに突き刺さった。
こうして万博の夜は終わった。
＊＊＊＊
技術の高低だけじゃない
レギュレーションに対する不満はまだある
それでもこの日見せてくれたサッカーは
確実に見るものを感動させ、
そして何かを残していってくれたと思う。
12月5日土曜日
次の試合で全てが終わる。
歴史的な一戦となったこの日の試合。
”サッカーは小説よりも奇なり”