テーマ:サッカー
2015年11月22日
Jリーグ第34節(2nd 17節)


鳥栖 VS 東京 0-0

前:9勝12敗12分 11位
後:9勝12敗13分 11位(2nd12位)


~取り戻した粘り強さ
 この道は決して間違いではない
 しかし、最後の一撃を与えるのは組織ではなく個である、という事


■前提
ここに来て松本、仙台と連勝。
苦しいながらも耐え抜き、そしてゴールを奪う。

ギリギリの試合なら鳥栖のもの。
そういったトスの粘り強さというものが復活してきた。

最後の相手の東京は勝てば3位。
プレーオフに進出できるため、こちらも崖っぷち。

お互いに最終節ながら消化試合ではなく
本気の戦いが見れる。


■スタメン

-----林------

-谷口--丹羽--ミンヒョク-

吉田--岡本-高橋--ソングン

-水沼--池田--早坂---


■前半
ミヌが怪我のため離脱。
さらにキャプテン藤田も腕の骨折。
豊田も万全ではないのか、控えに。

その上、天皇杯でもう少しだったDFの要、菊地も控えに。

最後の最後まで飛車角落ちのまま、満身創痍の鳥栖。

対する東京はFW前田、中盤に高橋、米本、DFには森重、太田と
代表、旧代表クラスがひしめく。

控えを見渡せば鳥栖には鎌田、東京には中島翔哉と、
お互いにU-22を狙う逸材も控えている。
しかもイケメン対決(個人的に)

犬っぽさや人なつっこさ、で戦えば愛嬌では中島の勝ちだろう。
しかし、あのずる賢そうな目や、キリっとした切れ長の目、
そしてスラッとした長身と細身の体つき。

ボールの持ち方という意味でも
中島は丸まってボールを運んでいくが
鎌田はスラっと背を伸ばした姿勢でより遠くを見ている。

カッコよさは人それぞれだが、やはり個人的には
鎌田のほうがカッコイイ!と声を大にして伝えておきたい。


さて、試合のほうだが、東京はやはり、太田からのクロスを意識。
そこに前田が抜群の走りこみで入ってくる。

確かに技術の高さ、戦術の高さは感じさせたが、
吉田のがんばりにより、太田はフリーにはならない。

完璧なクロスは多くはなく、
東京の東が左サイドで完全に抜き差ってのクロスが
一番の脅威だったか。

鳥栖は水沼の運動量が本当に半端ない。


「まぢあいつ っぱねぇっすよ。

 どこにでも居るンだもん!」

状態。

ボランチを助け、前線へのカウンターでは自らも飛び出し、
また早坂らへ絶妙のパスも届ける。

相変わらず雑なシーンも多少あるが
それを補って余りある、活発な動きを見せた。


さて、東京はクロスを決めきれずに0-0で前半終了。
鳥栖が守りきれた、ともいえる。

その理由は、相手のボランチ。

鳥栖が典型的な3-4-3のため、トップ下不在。
そのため、相手のボランチは余裕を持ってプレーできるのだが、

青山や柏木に蹂躙されたゾーンに居たのは

高橋秀人と米本。

どちらも高いレベルの選手だが、どちらかという
カバーや奪う力、当たりの強さや勢いに定評がある。

いわゆる 司令塔タイプのパサーとはちょっと違う。
彼らから気の効いたパスが出なかったため、

太田は 「すごくいい状態」で持つことが出来なかった。

ここに梶山が居たら終わってたかもしれない。

■後半
後半もさほど構図は変わらない。

それでも球際の攻防は激しさを増していく。
東京がこんなに戦えるチームになるとは予想してなかった。

プレスの激しさ、当たりの強さ
まさに、マッシモ監督がチームに増した部分だろう。

そして、鳥栖もそういった戦いには慣れている。
そして取り戻した粘り強さ。

シュートを撃たれても、クロスを入れられても
全てのボールに集中し、一つ一つ丁寧に跳ね返す。

何とか身体に当てる。

GK林まで届いたボールはシュートの割りに少なかった。


そして交代の1枚目は豊田

立て続けにルーキー鎌田を投入

今日も早い時間での投入であり先制点を狙ったことは明らか。

-----林------

-谷口--丹羽--ミンヒョク-

吉田--岡本-高橋--ソングン

-水沼--★豊田--★鎌田--


豊田は前線で存在感を見せて、水沼は相変わらず走り回る。
鎌田も序盤とは人が変わったようにプレスに、飛び出しに
走り回っていた。

頼もしい。

そして感動的ですらある。

走り続ける鳥栖。

東京はせめても攻めてもチャンスにならない。


そうこうするうちに、水沼がカウンター気味に奪い、
前線に飛び出した鎌田にスルーパス!


完全に抜け出した鎌田は厳しい角度からも
GKと1対1に・・・

鋭く振りぬいたボールは


GKの手をすり抜けて、、、


ゴールの



右ポストを叩いて ゴールならず。



乾いた音と、悔しい表情。


ギリギリの戦いで決め切れなかった鎌田は

サッカーの神様が 「まだまだ、だよ」と微笑んでいたのだろう。


東京も中島らを投入し勝負に出る。

しかしやはりボランチからの展開力がないため
決定機を作りきれない。

これは藤田不在のため、鳥栖も同じ課題を抱えていた。

トップ下の中島や鳥栖の鎌田も、中々いい形で貰うことは出来ない。

それでも高橋のシュートをお膳立てしたり
飛び出したシーンもそうだが、決定機になりそうな場面は
鳥栖にもあった。

お互いに死力を尽くした試合は幾度となくあった
太田のセットプレーの全てを跳ね返した鳥栖が守りきり

0-0で終了の笛となった。



勝ちきれない悔しさを滲む鳥栖と

勝てなかったことで3位の座から滑り落ちた東京。
目の前にあった、CSへの出場権を逃した涙。

森重のインタビューと涙は
その重さを教えてくれた。

それだけの想いと覚悟をもって戦ってくれたことに感謝。


よく引き分けで敗者はいない、と表現することもあるが、

今日の試合では確かに敗者は居なかった。

しかし

今日の試合は どこにも 勝者も居なかった。



少しだけ寒い風と 心残りと お互いに掴みきれなかった「何か」


そんな忘れ物が残った試合となった。




■選手総評

林 6.0 無難
大きな仕事はセットプレーの処理。
シュートはDF含めてよく連携して守った。
フィードも良く、起点にもなっていた。

谷口 6.0 何処でも
ミンヒョク、丹羽と組み合わせが変わっても
大きなズレもなく、そつなく守備を構築した。
その強さと器用さは特筆すべき。

丹羽 6.5 素晴らしいフィードの数々
数々のシュートブロック。
ソツなくこなしたラインDF。
それに加え両サイドに長い距離の球足の速いフィードの数々。
攻撃の起点が少ない鳥栖において重要な起点となった。

ミンヒョク 6.0 強さは素晴らしくも
激しさ、強さでは誰にも見劣りしない。
しかし東に一発でかわされたように
やや空回るシーンも。
それでも無失点で終えたDFには賞賛の言葉しかない。

吉田 6.5 太田を防ぎきる
個人での守備だけでなく、コースを切り
中と連携を取って守った。
攻撃でも良く走り、足りない技術も
気持ちで補う意思を見せ付けた。

ソングン 6.0 守備での貢献
攻撃時はミヌに比べると一歩遅い、ややセーフティーが目立ったか。
守備においては穴をあけず、奮闘した。
素晴らしい戻り、球際の強さ、最後の一歩を守りきった貢献は大きい


高橋 5.5 あと一つの壁を
中盤で穴を開けず防いだ功績は大きい。
しかし藤田不在の中、攻撃への貢献、ビルドアップや
最後のシュートなど、彼がスーパーなプレーをすれば
勝てた試合でもあった。
求める要求は高いが、それを体現してほしかった。

岡本 5.5 無難ではあるが
前半はしっかりと守りながらコースに顔を出していたが
激しさを増す試合の中でやや消える時間も。
一気に逆サイドなど、思い切ったプレーが見たかった。


水沼 6.5 全てを出しつくし
死力の限り走った。
そして自らも飛び出し、スルーパスにビルドアップに
獅子奮迅の活躍。
その疲労からか、最後の最後の豊田へのクロスが
やや低いボールになり相手に止められたのは
それまで走り続けた疲労もあったのだろう。

それでも自分の得意なことだけするのではなく
チームのために、勝利のために全てを賭けて戦った。

その姿はまさにキャプテンに相応しく
美しいものだった。

早坂へのパス、鎌田へのパス、豊田へのクロス。
どれかが決まっていれば、、、


早坂 5.5 攻守に正しく、も最後は
相変わらずしっかりとしたプレー
それでも攻撃の選手の割りに控えめなプレーが多かったか。
前半の水沼からのパスはやはりせめて枠に飛ばしたかったか。
ゴールだけが決まらない状況が続くが、
しっかりとしたプレーで貢献していることも間違いない。

ただし、無得点で終わった試合でFW陣をただ賞賛することは
どうしても、難しいことを記しておく。


池田 5.5 プレスは続くよどこまでも
豊田に変わるまで、いつまでもどこまでも追い続けた。
猟犬のようなその姿勢と尽きない闘志は鳥栖そのもの。

自身のシュートチャンスはなかったが、
あと一つ何かが繋がれば。


-----------------------
豊田 5.5 エースとして
エースとして勝たせることが出来なかった。
点に絡む動き、プレーが出来なかった。
それはチームの疲労も影響はあるが、
彼自身の技術や動きにも原因はある。

それでもだいぶ動きのキレは戻っており、
相手への脅威は相当なものだった。
そのインパクトで点を生むことを期待されたが
今日の試合ではそれは果たすことが出来なかった。


鎌田 5.0 もっともっと苦しめばいい
素晴らしい飛び出しとコントロール。
そしてギリギリを狙ったシュート。

技術の高さが散りばめられたそのシュートは
しかしポストに嫌われた。

彼にはこの展開で「最後の個の能力」で
決めることを要求されている。

要求されたことを果たせなかった故の点数。

しかし、彼自身は高橋へのパスや飛び出し
前線でのプレスなど確実に成長も見せている。

最後を決めきることが出来る特別な存在になれるか、どうか。
もっともっと苦しんで
もっともっと成長してほしい、と切に願う。


福田 5.5
ソングンの疲労により出場。
サイドでしっかりとプレーした。
短い時間ながらもソツのない動きは信頼に足る。

と同時に、何かこの展開であと一つの
インパクトが欲しかったのも事実。



***
鳥栖の今年のまとめ、は別記事で。



最後に 最終節で 素晴らしい試合を見せてくれた

両チームに拍手を


これは サッカーの勝利である。






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