2015年8月22日
Jリーグ第25節(2nd 8節)


鳥栖 VS 横浜 1-2(谷口)


前:7勝 9敗8分 12位
後:7勝10敗8分 12位(2nd12位)

~『受け身』の攻撃的では限界がある。
 『積極的』な『守備』が大事。


■前提
2015年第25節

少しの中断を経ての前節は3-1と久しぶりの快勝。
この日は強敵 横浜。
ラフィーニャは欠場も、中村や斉藤、中沢にアデミウソンと
代表、元代表レベルの選手がずらり。

上り調子を結果に繋げられるか?
下位からの脱却も含めて大事な1戦となった。

また、この日は「ブリジストンデー」

試合外のことは別記事に委ねるとするが、
10年前、平均入場者数が6000人足らずだったころ、
『満員のベアスタが見たい』という小学生の夢。

鳥栖市、ブリジストン、サガン鳥栖が協力し、
チケットの半額や、協力、宣伝に奮闘し、
当時としては異例の18000人超の入場を記録した。

当時の気持ちや夢や想いは今も鳥栖に受け継がれるものであり、
この日も18000人を超える入場を記録した。

なお、その時、夢をかなえた小学生が言った言葉は
多くの人が来てくれて嬉しかったが、『目標の2万に届かなかった』だと言う。

その不屈の精神もまた、鳥栖たる所以かもしれない。


■スタメン
GK:林
DF:吉田 ミンヒョク 菊地 キムミヌ
MF:藤田 高橋
MF:水沼 鎌田 早坂
FW:谷口


■前半
何もかもが上手くいかなかった前半。
それでも、『運』が傾き、先制に成功する。

もちろん先制の場面は完全な実力で上回っていた。
カウンターから上手く水沼が繋ぎ、サイドの吉田へ。

完全にフリーになった吉田が前に持ち上がり、
中澤、ファビオらの巨漢を超えて、一番のファーサイドにクロスを送る。
これを小林に競り勝った谷口がヘディングで押し込んで1-0.

その後は中村がさすがの技術を魅せる。
前線ではアデミウソンがこれまた技術の高さと、
斉藤のすばやさで次々に攻め込んでくる。

それでも横浜は最終ラインまではあまり攻めに加わらず、
まだ時間も多く残ってるが故の余力も感じられた。
それがまた恐ろしく。


それでも斉藤のクロスから中村のヘディングや、
アデミウソンのシュート、
伊藤がミンヒョクに競り勝ってトラップから至近距離からのシュート

これら全て、林のファインセーブで凌ぎきった鳥栖。

鳥栖もまた、ミヌが抜け出してのヘディングや
早坂がニアであわせたシーンなど、
チャンスが皆無だったわけではないが、
基本、横浜ペース、という前半だった。

なお、期待の鎌田は中町、三門がしっかりとケア。
さらに彼が持ったときに裏へのスペースもしっかりと消されていた。
これにより飛び出して受けれるスペースがなく、
出しどころに迷って戻すシーンが多くなった。

かと言って、後方からビルドアップするのに参加するわけでもなく
基本、消えていた、といわれても仕方ない出来。

鳥栖相手にこれだけスペースを消して
しっかりと守備してくるチームは珍しい。
それが故に対処も出来なかったのだろう。

ドルトムントが引かれた相手に香川が何も出来なくなったのと似てる。

これを打開してこそ、次の舞台、、、と言いたい。




■後半
読み間違えた「横浜の『得点力』」

前半は結果こそ1-0でリードしていたが、
内容としては何も上手くいってはいなかった。

谷口は中沢、ファビオに競り負け、鎌田がフリーで前を向けない。
守備でもアデミウソン、中村のアイディアや技術についていけないシーンも多かった。
正直林のセーブに助けられていた。

しかし、それでも貯金を得たのは鳥栖だった。
これをどう使うのか?

結果論ではあるが、追いつかれてから動くのは遅かったと感じた。
鎌田は前線でのチェックをサボることはなくなったが、
それでも、後ろへ追いかけるのは最後まで追わないことも多い。

そこでマークを受け渡した水沼、吉田らが
鳥栖の右サイドでマリノスに上手くつながれ、
下平が上がったところに菊地が付いていくも、そこをスルー!

ずれたマークに伊藤に付ききれなかったミンヒョク。
PAのわずかに外。
鳥栖はここからの失点が非常に多い。

ボランチの藤田も間に合わず素晴らしいコースに飛んだシュートは
林も一歩も動けず同点。

ここで高橋に変えて豊田を投入し、谷口をボランチにする。

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吉田 ミンヒョク 菊地 キムミヌ
藤田 谷口
水沼 鎌田 早坂
豊田
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しかし、ここで横浜は老練な守備を見せる。
豊田は出場直後いくつか競り勝つシーンを見せる。
そこで、豊田に直接付くのは、中町や三門が競るようになる。

もちろん競り勝てないのだが、体制を崩し、少しでも
良いボールを落とさせないようにしていた。

そして中澤、ファビオはそのこぼれ球を拾う。
鳥栖は鎌田や水沼が拾いに行くのだが、
そこで中澤、ファビオのほうが身体も強く、奪えてしまう。

さすがの守備の変更で鳥栖にチャンスを作らせない。
さらに豊田にボランチが付くことで
鎌田や藤田はわりとフリーで前を向けるのだが
そこから自分で仕掛けてのシュートには行かない。

どうしても裏のスペースやパスコースを探してしまう。
しかしそのスペースは横浜のDFにしっかりと消されていた。

組織としての対策、個人としての能力、どちらも上回っていたのは横浜

そしてついにCKからファビオがゴールし、1-2.
ここでもミンヒョクが一歩遅れてしまっていた。

鳥栖は早坂に代えてペク
さらに負傷の谷口に代えて田村を投入。

まさかのボランチに水沼だったのか、
鎌田を一列下げたのか、最後はスクランブルだったため不明。

終盤、横浜はさらに栗原を投入し逃げ切りに。


結局鳥栖は、状況が変わったために、それに対抗するために交代した。
横浜は、リードした時点で、それを守りきるために交代した。

自分たちが主体的にゲームを握っていたのは
守りを固めた横浜のほうだった。

鳥栖は終盤、藤田のFKから豊田のヘディングも飯倉のセーブ。
さらにペクのシュートや田村のシュートもDFが身体を投げ出して防ぐ。

そのこぼれ球を拾ってのシュートもまたもGK飯倉がセーブ。
最後のチャンスも横浜のDF全員が集中しており、素晴らしい守備を見せた。
弾いたボールを藤田が拾い、素晴らしいフェイントで交わすも
クロスは力なくGK飯倉の元へ・・・


■まとめ
・せっかくの先制をまたも守りきれないのは厳しい。
・結局同点、逆転されてから、、、の前に出る、という受け身の攻撃←
・豊田対策、鎌田対策をされ、鳥栖相手にラインを下げてきた横浜の
 謙虚さと試合運びの上手さに脱帽。
・横浜は「攻撃力」はさほどないが「得点力」はある。

結果論だが、同点の時点で、山形戦と同じく
3バックで守備を固めつつ、豊田を入れて我慢比べ、、でよかったと思う。

後ろも上手くいってなかったのだが、
同点にされても、4バックのまま攻撃的に行って勝ち越しを狙った。

もちろんホームであり、勝ちに行くために前に出るのは正しい。

しかしその方向性として、たとえばリードを守る方向に積極的になる、だとか、
後ろの安定を図って、豊田の一発に賭ける、、という方向もあったはず。

後ろが守れてない状況(林のセーブで前半を凌いだだけ)を放置し、
前の攻撃に賭けたのは、あまりにも無謀だったか。


田村の躍動は収穫ではあるが、やはり連携や最後の質で
レギュラー陣を超えてる、とは言いがたい。

ペクにしても、後ろにスペースがある状況では活きるが、
逆転され、横浜に引かれたあとでは打開しきれない。
中央の後ろはしっかりと人数をかけられていた。


リードした状況ならば、今日ほど池田が欲しいと思ったことはない。
逆転されたあとならば、今日こそミヌを一列前で勝負させたかった。



結論から言えば、豊田インパクトで点が取れるほど横浜の守備は甘くなかった。
林のファインセーブだけで守りきれるほど横浜の得点力は甘くなかった。

中村の一瞬魅せる技術やアウトサイドでのコントロール
そしてセットプレーの質の高さは確実に
鎌田や藤田を上回っており、流石、、、、と言わざるを得なかった。


■選手総評
林 6.0 守護神として君臨するも
奇跡的なセーブを見せるも、キックの質は戻らず。
終盤は無理に攻め上がったが、違いは作り出せず。
GKとして出来るだけの守備は見せたが。


ミンヒョク 5.0 闘志は衰えず
終盤に向けてテンションが上がる中、強さ、集中力が戻ったように感じた。
しかし、1点目、2点目ともに失点の直接的な原因となってしまった。
前半も危ないシーンを林に助けられており、もう一歩の安定感と強さが欲しい。

菊地 5.5 怪我にもメゲズ。
前半早々足を痛めるアクシデントも、しっかりと対応。
苦しい状況でも最低限の守備のカバーを見せてくれた。

吉田 6.0 脅威の対人能力
中村の技術に強さ、運動量で対抗。
イエロー1枚を貰うも、個人としては簡単に負けることはなく。
また、攻撃の質としても1アシストを記録。
素晴らしいクロスだった。

ミヌ 5.5 左足の質は衰えず
押し込まれたシーンでは身体を張った守備を魅せる。
攻撃でも前に出れた場面では惜しいシーンを生み出す。
しかしSBからでは多くをもたらすことは出来ず。

高橋 5.0 守備ではくらいつくも・・
中盤で中町、中村、三門らを良く抑えた。
単純に崩されることはなく持ちこたえていたが、
攻撃に移るシーンでの判断の遅さも。
後半攻撃に出るために豊田に交代となった。

藤田 6.0 戦う頭脳
鳥栖の心臓かつ頭脳として、苦しい試合を打破すべく戦った。
セットプレーや繋ぎの中心としてゲームに絡み続けた。
最後まで走り、戦うその姿はまさに鳥栖の魂、そのもの。

水沼 5.5 スペースがない中で何を為すか?
裏のスペースがなく、得意の飛び出しは封じられた。
もう一つの武器、ミドルシュートを見たかったが
シュートへの積極性に欠いた。
それでも幅広く動き、起点となるべく戦い続けたと言える。

鎌田 4.0 苦しいときに、自分が何をすべきか?
こぼれ球を拾って、いい形のときに良いボールを供給する。
それが一番求められてる仕事であることは間違いない。

しかし、それが出来ない試合展開のとき、何をするのか?
ただ消えるべきではない。
豊田や藤田や、彼より技術で劣る池田や早坂も、
そこで、ただ黙って消えることはしない。
動き続け、得意だろうが、苦手だろうが、何かを変えようと戦う。

まだ若いとは言え、一番技術のある彼がゲームを動かすべく
シュートに向かう動きや、裏への飛び出し、

自分が

『最後を締めくくるパスを出す』 ことばかり探すのではなく、

『この試合を勝つために何をすべきか?』

その意識が足りなかった。
横浜の老齢な守備にパスは封じられ、決定的な仕事は出来ず
守備での貢献も低かった。

早坂 5.0 最後の部分をどうするのか?
運動量や動きの質は良いが、やはり最後を決めきることは出来ず。


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豊田 5.5 
横浜の守備に上手く消された。最後の最後に決定的なシーンを生んだのは流石。
しかし、それを防いだ横浜の守備陣のほうが1枚上手だったか。
  
ペク 5.0
この試合展開では彼のスピードは生かせず。
カウンターに行く場面もなく、見せ場はシュート1本のみか。

田村 5.5
動きの大きさとすばやさで、ゲームに勢いを与えた。
若さと勢いで流れを掴むも、最後のシュートのように
横浜相手に決めきるほどの活躍は出来ず。


森下 4.5 
怪我人の管理や交代の手順など、少しバタバタしたか。
せっかくのリードをどう扱うか、山形戦同様、失点してからの対応となったが
今日の相手には通用せず。
相手の力量を読み違えたか、単純に戦っては勝てない相手なのは明白。

それでも先制した展開だっただけに少しでも勝ち点を奪うべきだっただろう。
采配や組織、そして準備、勝ちへの覚悟。
それら全てで少しずつ横浜に負けた。

鳥栖相手に引いてくる相手も少ないが、それだけしっかり戦ってきた横浜に拍手、か。


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