2015年7月22日
Jリーグ第23節(2nd 6節)


鳥栖 VS G大阪 1-1(鎌田)


前:6勝8敗6分 14位
後:6勝8敗7分 11位(2nd5位)


~誰と心中するのか?
  ”鎌田という逸材”


■前提
2015年第23節

真夏の中2日、日程にも見放された連戦
そんな中、もっか得点王の宇佐美擁するG大阪との対戦。

豊田の怪我、連戦、、、厳しい中をどう戦うかが問われた試合となった。

■スタメン
GK:赤星
DF: ミンヒョク 菊地 谷口
WB:吉田         キムミヌ
MF:藤田 岡本
MF:水沼 早坂
FW:池田


■前半
先発をがらっと変えた鳥栖
今期初の3バックを試す。

ミンヒョクを久しぶりに先発に使い、谷口もCBに。
両WBに吉田、キムミヌを配置。

キックオフの瞬間から左SBと思っていたキムミヌが最前線に飛び出したので
「ん?」と思った。

さらに谷口はワントップと思いきや後ろに居て さらに「ん?」

結果として、この戦術は

守備は まぁまぁの効果
攻撃は まるで。。。。

という効果を生んだ。
ガンバは宇佐美や倉田のドリブルから攻めるも、
人数をかける鳥栖のゴール前で息詰まる。

一番怖かったのは実はパトリック。
彼自身の決定力というより、前線でキープされ、時間を作られるのが怖い。
ここはミンヒョクが非常にがんばりを見せた。

それでも前半の鳥栖はまるでボールが繋がらない。
前線へのロングが多いものの、池田がキープしきれず繋がらない。
つなげようとビルドアップするも、岡本、藤田へのプレスもきつく
ボールはすぐに戻すことに・・

対するG大阪もそこまでフルパワーでの攻めは見せない。
しかし、倉田のワンツーからの突破で足をかけてしまいPK・・・

一体今年何度目のPKか、という所で遠藤に決められ0-1。


その後鳥栖は転機を迎える。
池田の怪我により、この日はベンチだった鎌田を投入。

そして早坂をFWに添え、水沼、鎌田を攻撃的MFに。
前半の鳥栖の最大のチャンスはコータのパスカットから
一瞬貯めてのクロスを早坂!

これはG大阪に防がれる。

中々攻撃の糸口が見つけられないまま前半を1失点で切りぬけた。


■後半
後半、早坂のワントップが少しずつハマッてくる。
やはりサイズのある選手が前に居ることは鳥栖は慣れている。

そして鎌田も左サイドを中心にちょっと異質なキープを見せる。
守備の場面では身体の寄せや、プレスバックなど
まだまだ、、な場面が多い。

それでも、最後の攻撃の質が足りてなかった鳥栖に
明らかに質をもたらす貢献をしている。

そして、G大阪も1-0でOKと思っているのか、
遠藤に変えて今野。

対する鳥栖は岡本→高橋

そして試合中にシステム変更を行う。

吉田 菊池 ミンヒョク ミヌ の4バックにし

藤田 高橋 のボランチ

コータ 鎌田 早坂 の攻撃的MFを並べ

谷口 をワントップ!


早坂以上のパワーを持つ谷口を前に入れた効果は大きかった。
前線での競り合いが五分以上になり、
自身はつぶれながらも2列目に何とか繋げるシーンが増える。

こそっと谷口は豊田よりも足元が上手い。
パスが繋がる。
意外とこの効果は大きかった。

そして、前半パスミスが多かった藤田。
彼は”狙っている”と感じるパスが多かった。

狭い地域でも無理目でも縦パスを狙い
前半は相手に渡ることも多かった。

しかし後半開始早々からGKにまでプレスをかけ、
明らかに”スイッチを入れる”ことを意識したプレーを見せる。

そんな藤田から右サイドの吉田に繋ぎ、
吉田のふわっとしたクロスから鎌田!
これはオフサイドになる。

また、同じような展開から吉田の低いクロスに
前線で入り乱れ、こぼれたところに水沼!!

完全にGKと1対1になるも、トラップがやや大きく
それでも上手く浮かしたシュートはわずかに外れてしまった。

鳥栖の時間が続くなか、G大阪もパトリックのミドルや、
米倉のクロスにどフリーでのヘディングなど、
互いに惜しいシーンもあった。

それでも後半は鳥栖の試合だった。


ゲームを動かし続けた藤田が、
左サイドでのスローイン。
雨ではロングは投げないのだが、
わざわざ拾いにいったことでG大阪はややロングを警戒する。

その隙をついて、早いスローインでサイドの深くのミヌへ。
そこからの低いマイナスのクロスを鎌田!!!


豊田が居ない中、”決定力”という意味で


鎌田と心中するしかない、そんな試合だった。

そして彼はその期待に応えた。

若干18歳
まだ、わずかばかりの結果しか残していない。

それでもサッカーには全てを明るく変える瞬間というのがある。
彼は間違いなく、その瞬間を生み出すことが出来る特異なプレーヤーである。


その後鳥栖はソングンを入れてミヌを前に出して攻勢を強めるも
G大阪も最後のところは防いで1-1で終了



■耐えるからこそ、何かが得られる

今日も辛い前半 辛い判定でPKで失点
それでも崩れなかった。

新潟戦も同じだが、失点しても我慢を続けれるようになった。
これは ものすごく大きなことだ。

耐えることで、その後何かが得られるのだから。

今日は鎌田という才能が勝ち点1をもたらした。
失点を1で耐えていたからこそ、あのゴールが勝ち点を生み出した。


■課題と収穫
収穫
・3バック(5バック気味)で守りはある程度硬くなる
・谷口の汎用性の高さ ワントップも使える
・両サイドからのクロスに工夫が見られた
 (豊田がいないため、単なるクロスだけでなく低いクロスや
  アリークロス、マイナスへのクロスなど多彩なクロスが見れた)
・鎌田という諸刃の剣

課題
・攻めさせていたのか、攻められていたのか、の何もしなかった前半
・耐えてカウンター!というところでのミスの多さ
・鎌田をサイドで使う場合の守備の軽さ
・水沼、キムミヌの負担増
・池田の怪我


■誰と心中するのか?
前節、それでも鳥栖は豊田と心中すべき、と書いたが
今回、まさかのフォーメーション変更と
そして、豊田欠場により、必然的に鳥栖は鎌田のチームとなった。

けれど、
それまでを耐え切ったのは菊地、ミンヒョクのがんばりであり
劣勢を跳ね返したのは早坂、谷口のパワーであり、
ゲームを動かしたのは藤田であった。

それらのがんばりとお膳立ては、すべて
鎌田の才能に賭け、そこから生まれる得点に期待してのこと。

実際彼が得点に絡む確率はあまりにも高い。
18歳の高卒ルーキーにしては異常なほどだ。

むろん鳥栖にあるべきプレスの強さや
守備への貢献はまだまだ足りない。

それでも攻撃へ絡む回数や顔出しは増えており、
いい傾向は見える。

どうしても今の鳥栖は最後を決めきる質が足りない。
そこを期待するのだとしたら、彼の貢献度は計り知れない。


■選手総評
赤星 6.5 苦しい試合を耐え抜いた。PKは止む無しも危険なシーンをストップした。

ミンヒョク 6.0 久しぶりの先発もパトリックと良い戦いを見せた。
菊地 6.5 今日も幅広いカバーと前線へのフィード、そしてクレバーな守備。
  厳しい場面でボールを奪うセンスと、相手のファールを誘う身体の使い方など
  冷静さと判断の良さを見せた。
谷口 6.5 前半はCB、後半はFWとマルチに躍動。特にFWになってからの
  前線での身体を張った動き、競り合いの貢献度は高かった。

吉田 6.5 右サイドを躍動。種類の多いクロスを見せ何度も決定機を演出した。
  守備でも大きな破綻はなく。

キムミヌ 6.0 左サイドから値千金のアシストを決める。
  そのほかのシーンはやや体力が落ちてることを感じさせたが
  それでも決定的な仕事をやってのけた。

岡本 5.5 攻守の要となるべきフォーメーションで輝ききれず。
  良い動きはしていたが。

藤田 6.5 前半はミスも多く苦しい出来も、後半は試合を動かした。
  激しいプレスと判断のいいパス、同点弾も彼の判断の良さから。

水沼 5.5 体力的に苦しい中、走り続けたが、いつもに比べてミスも多かった。
  雨の影響かトラップがぶれるシーンも多く。
  それでも攻撃での貢献は大きなものだった。

早坂 6.0 攻守に激しいプレー。前線でのファイトはチームを助けた。

池田 5.0 今日も貢献度は高くなく。さらに怪我により途中退場を強いられた。

鎌田 6.5 サッカーとは点を取り合うスポーツである。
   彼は間違いなく、その得点を生み出せる選手であることを証明した。
   厳しい試合ながらも咄嗟の閃きで攻撃を演出した。

高橋 6.0 岡本にかわり中盤に入り、チームを活性化した。

ソングン 5.5 出場時間は短くも、良い影響はあまり与えれなかったか。


森下 6.5 この連戦の中、G大阪相手、アウェー、雨の中、豊田不在・・・
  それらを勘案してのフォーメーションと先発変更
  マイナス要素しかない試合でさらにPKでの失点

  ともすればチームが壊れる可能性もある中、
  しっかりと試合中にも修正し、後半盛り返したことは評価できる。
  
  また鎌田をしっかりと戦力として組み込めるようになったのは大きい
  谷口のFWもメドがたった。

  采配や準備での失敗では?と思うことも少なくないが
  試さないと正解は分からないのがサッカー。

  結果としてこの日は先制されるも、
  無理に攻めたら玉砕されるのが分かりきってる相手。

  およそ考えられるギリギリのバランスを保ちながら
  少しずつ攻めに転じ、後半は「鳥栖タイム」を作り出した。


  批判や不安もあるだろうが、この結果は十分な結果だと言える。
  難しい試合を乗り切った。
  

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17の誇りを胸に。