各選手のタスクの違いと
守備時の守り方による日本代表の変遷
---------------------
岡田監督 (南アW杯)
基本形:
4-駒野 田中 中澤 長友
3-阿部 長谷部 遠藤
2-松井 大久保
1-本田
守備時
4-駒野 田中 中澤 長友
1-阿部
4-松井 長谷部 遠藤 大久保
1-本田
攻撃時
4-駒野 田中 中澤 長友
3-阿部 遠藤 長谷部
3-松井 本田 大久保
--------------------
基本的にトゥーリオ・中澤の高さを生かすため、ラインを低く設定。
DFラインを下げることで空くPAの前は阿部の危機察知能力でカバー。
その前にボランチ二人で中盤を埋めつつ
松井・大久保も守備まで戻る。
-4のラインを組めばある程度ゾーンDFは機能する。
そこにアンカーを間に加えることでミドルもケアし、
4-1-4で堅守を確立。
その分攻撃は弱くなったが、
松井・大久保が持っていけるところまで運んで
後は本田さん宜しく、が基本。
攻撃時でも4-3のラインは最低保っていた。
攻撃のやり方は豊富ではないが、本田・松井・大久保の個人技で
なんとかなれば点が取れる、ならなければ通用しない、というサッカーではあった。
ただし、CFの本田が点を取ることが前提の布陣であり、
フォワードありきの攻撃をしている点でバランスは取れていた。
■■■■■■
■主な役割■
CBの仕事:中央で跳ね返す
SBの仕事:相手の早いサイドの選手をマンマーク
中盤の仕事:ラインに入って守備が最優先
サイドの仕事:守備時はラインまで戻り、攻撃時はドリブルで出来るだけ運ぶ。
最後はクロスも。運動量が多く一番大変な役割
1トップの仕事:前線で少しでも時間を作り、少ないチャンスでシュートまで。
守備への参加は極少
---------------------
ザック(最盛期~ドイツW杯)
4-内田 吉田 森重 長友
2-長谷部 遠藤
3-岡崎 本田 香川
1-前田(大迫)
守備時
4-内田 吉田 森重 長友
3-岡崎 長谷部 遠藤
2-本田 香川
1-前田
攻撃時
3-内田 吉田 森重
2-長谷部 遠藤
2- 前田 長友
3- 岡崎 本田 香川
---------------------
岡田時代からアンカーを抜いて2ボランチで守ろうという意図。
守備時は4-4になるためには、本田か香川が下がる必要があった。
本田の運動量があったときは彼がボランチまで降りることで
ゲームメイク&守備の硬さを出せていたが、W杯では運動量が少なく、
上記のように4-3での守備を強いられた。
そりゃあ守備は破綻するよね、って話。
しかも攻撃時は本田がキープし、長友は必ず上がる。
そして香川とのコンビでサイドを崩し、CFが下がってあけたスペースに
逆サイドの岡崎がFWまで上がってくる。
遅れて本田が上がってくる
岡崎、そして本田の得点が多くなる理由が分かる攻撃のメソッドだった。
つまりCFがシュートを撃つことの優先度が極めて低かった。
■■■■■■
■主な役割■
CBの仕事:シュートのケア、前線へ縦パスを入れる
SBの仕事:中盤がキープしてる間にオーバーラップしてクロス。
中盤の仕事:前線への縦パス。ビルドアップ。
サイドの仕事:攻撃時にはどちらかのサイドがFWとしてダイアゴナルランでシュートまで行く。
1トップの仕事:前線でのプレスと、サイドの偽FWのためにスペースを空けること。
比べて見るとサイドの選手がまだ
松井・大久保(この当時は)中盤っぽい選手から
岡崎・香川(この当時は)ほぼFWの選手に変わっている。
長友が守備特化から攻撃中心に変わってしまい、さらにサイドの守備は弱く。
CBや中盤の仕事もビルドアップや縦パスが主なタスクとなり
明らかにボールを保持してるときの事しか考えてない布陣になってしまった。
しかも必ず下がるのが一番得点力のあった岡崎・・・彼への負担が明らかに異常。
ザックが安定してた時代は
守備時に
---------------------
4-内田 吉田 森重 長友
4-岡崎 長谷部 本田 遠藤
1-香川
1-前田(大迫)
となっていた頃。
まだ守れていたし、攻撃時の威力はあった。
それでもワントップのタスクはプレスとスペース作りであり
中盤以降が上がってこないと点になる確率は極めて低いサッカーであった。
つまり、FWへのカウンターでシュートまでいくことは少なく、
また、後ろの選手が上がる時間を作る必要がある。
さらに、中盤が必ず上がるのでカウンターは受けやすい、
とFWありきの攻撃が選択肢にないことで、
必然的にリスクの高いサッカーとなっていた。
ちなみにバルサやドルトも似たようなサッカーだが、
前線で取られたらそのまま鬼プレスで残った前線の選手が奪ってしまう
またはミスを誘う、そういうやり方で守備を成立させていた。
前線の個々の選手の運動量と守備力がなければ逆に成り立たない。
それが崩れてきた最近のドルトの守備を見れば分かりやすい。
---------------------
アギーレ
4-内田 吉田 森重 酒井
1-長谷部
2-遠藤 香川
3-本田 岡崎 武藤
守備時
4-内田 吉田 森重 酒井
4-本田 遠藤 長谷部 香川
2-岡崎 武藤
攻撃時
4-内田 吉田 長谷部 森重
3 遠藤 香川 酒井
3-本田 岡崎 武藤
---------------------
4-3-3で、アンカーを置くと名言。
岡田時代に戻るのかと思うが、中盤の二人のうち一人は攻撃的な中盤をおくのが特徴か。
守備時には本田か武藤のサイドのFWがラインまで引いてきて
4-4を形成。
また、アンカーが攻撃時にCBまで下がることがSBが一人上がっても
4人の守備ラインが崩れないのも特徴。
ザック時代のサイドアタックは
遠藤の縦パスに香川、長友、ときにはFWまで絡んで
数的優位で崩していた。
逆にアギーレの布陣ではサイドは1対1になることが多く
SBが上がっても守備は崩れにくいため、思い切って上がることが出来る。
そこで早い攻めで1人、2人で突破し、FWがシュートを狙うのが基本か。
やはりサイドの人選はほぼFWのメンバーであり、
もし彼らが下がらなかった場合、4-3で守ることになる。
だが、4-3の一人が岡崎だったザックと違い
今の香川(もしくは柴崎あたりか)や長谷部は守備力が向上している。
さらに新しい香川はロングパスの精度も高く、両FWを走らせるパスを出せる。
ワイドな攻撃が上手くはまればホンジュラス戦のようなゴールが期待できるが、
岡崎がFWに入ったときに、まだまだ岡崎主体の攻撃ではない。
つまり香川や本田は自分らが上がっていって(オーバーラップ)してシュートするのが
優先順位として高い気がする。
ここがFW主体になればさらなる堅守速攻となるだろうが、
アジア相手ではキープできてしまうこともあって
しばらくは4-3で守り、カウンターもしつつザック時代に培った
押し込んでのパスサッカーも併用するだろう。
サッカーとはバランスであり、何かが一つだけ正しいことは無い。
堅守速攻する、といったからと言って、
パスサッカーをしてはいけない、なんて事はない。
攻めるときはパスサッカーで押し込んで
1点取れば4-4で引いてカウンター。
そんな幅広さも身に付けば面白い
■■■■■■
■主な役割■
CB:基本的には中央で跳ね返す。攻撃時は下がってきたアンカーと3人で幅を広げるのも。
SBの仕事:上がれるときは片方がオーバーラップする。アンカーが下がって3バックになれば
両サイドが上がることも可能。
中盤の仕事:アンカーはCB~中盤まで。一人はビルドアップし一人は前線まで。
中盤と言っても3人とも役割が異なるのが特徴。
サイドの仕事:3トップのサイドは基本的にはFW。守備時はどちらかがラインまで下がる。
1トップの仕事:前線でのファーストプレスとキープが主な役割か。
3つの時代の違いをまとめてみる。
CB
岡田:中央で跳ね返す
ザック:キープして縦パスを入れる
アギーレ:横に大きく広がってパスをまわす。
SB
岡田:とにかくマンマーク!
ザック:とにかくオーバーラップ
アギーレ:アンカーの位置次第で攻守に参加
中盤
岡田:中央は引いて守る
ザック:中央はビルドアップと縦パスを狙う。ときに前線まで飛び出す。
アギーレ:アンカーはCBまで下がる。一人はビルドアップ。一人は前線まで飛び出せ。
(3者3様の動き)
両サイド
岡田:攻守両方倒れるまで・・・・
ザック:FWの裏まで飛び出すのが基本
アギーレ:基本的にサイドのFWという動き。攻められたサイドはラインまで戻る。
ワントップ
岡田:キープとシュート
ザック:前線のプレスとスペースを空ける動き。サイドとの連携
アギーレ:キープとシュート
こうしてみると実に「普通」なアギーレの布陣だと分かる。
まぁこれが正解、なんてのは無いわけで
こうしたいんだろうな、というのを試合から見ただけ。
そのやり方が日本人にあうかも分からないし
相手との関係もある。
さらに今居る選手との相性もある。
だからこそサッカーは永遠にチャレンジし続けなければならない。
少しでも良い状態を求めて
変化し続けることこそが
変わらず強くあり続ける要素かもしれない。
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守備時の守り方による日本代表の変遷
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岡田監督 (南アW杯)
基本形:
4-駒野 田中 中澤 長友
3-阿部 長谷部 遠藤
2-松井 大久保
1-本田
守備時
4-駒野 田中 中澤 長友
1-阿部
4-松井 長谷部 遠藤 大久保
1-本田
攻撃時
4-駒野 田中 中澤 長友
3-阿部 遠藤 長谷部
3-松井 本田 大久保
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基本的にトゥーリオ・中澤の高さを生かすため、ラインを低く設定。
DFラインを下げることで空くPAの前は阿部の危機察知能力でカバー。
その前にボランチ二人で中盤を埋めつつ
松井・大久保も守備まで戻る。
-4のラインを組めばある程度ゾーンDFは機能する。
そこにアンカーを間に加えることでミドルもケアし、
4-1-4で堅守を確立。
その分攻撃は弱くなったが、
松井・大久保が持っていけるところまで運んで
後は本田さん宜しく、が基本。
攻撃時でも4-3のラインは最低保っていた。
攻撃のやり方は豊富ではないが、本田・松井・大久保の個人技で
なんとかなれば点が取れる、ならなければ通用しない、というサッカーではあった。
ただし、CFの本田が点を取ることが前提の布陣であり、
フォワードありきの攻撃をしている点でバランスは取れていた。
■■■■■■
■主な役割■
CBの仕事:中央で跳ね返す
SBの仕事:相手の早いサイドの選手をマンマーク
中盤の仕事:ラインに入って守備が最優先
サイドの仕事:守備時はラインまで戻り、攻撃時はドリブルで出来るだけ運ぶ。
最後はクロスも。運動量が多く一番大変な役割
1トップの仕事:前線で少しでも時間を作り、少ないチャンスでシュートまで。
守備への参加は極少
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ザック(最盛期~ドイツW杯)
4-内田 吉田 森重 長友
2-長谷部 遠藤
3-岡崎 本田 香川
1-前田(大迫)
守備時
4-内田 吉田 森重 長友
3-岡崎 長谷部 遠藤
2-本田 香川
1-前田
攻撃時
3-内田 吉田 森重
2-長谷部 遠藤
2- 前田 長友
3- 岡崎 本田 香川
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岡田時代からアンカーを抜いて2ボランチで守ろうという意図。
守備時は4-4になるためには、本田か香川が下がる必要があった。
本田の運動量があったときは彼がボランチまで降りることで
ゲームメイク&守備の硬さを出せていたが、W杯では運動量が少なく、
上記のように4-3での守備を強いられた。
そりゃあ守備は破綻するよね、って話。
しかも攻撃時は本田がキープし、長友は必ず上がる。
そして香川とのコンビでサイドを崩し、CFが下がってあけたスペースに
逆サイドの岡崎がFWまで上がってくる。
遅れて本田が上がってくる
岡崎、そして本田の得点が多くなる理由が分かる攻撃のメソッドだった。
つまりCFがシュートを撃つことの優先度が極めて低かった。
■■■■■■
■主な役割■
CBの仕事:シュートのケア、前線へ縦パスを入れる
SBの仕事:中盤がキープしてる間にオーバーラップしてクロス。
中盤の仕事:前線への縦パス。ビルドアップ。
サイドの仕事:攻撃時にはどちらかのサイドがFWとしてダイアゴナルランでシュートまで行く。
1トップの仕事:前線でのプレスと、サイドの偽FWのためにスペースを空けること。
比べて見るとサイドの選手がまだ
松井・大久保(この当時は)中盤っぽい選手から
岡崎・香川(この当時は)ほぼFWの選手に変わっている。
長友が守備特化から攻撃中心に変わってしまい、さらにサイドの守備は弱く。
CBや中盤の仕事もビルドアップや縦パスが主なタスクとなり
明らかにボールを保持してるときの事しか考えてない布陣になってしまった。
しかも必ず下がるのが一番得点力のあった岡崎・・・彼への負担が明らかに異常。
ザックが安定してた時代は
守備時に
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4-内田 吉田 森重 長友
4-岡崎 長谷部 本田 遠藤
1-香川
1-前田(大迫)
となっていた頃。
まだ守れていたし、攻撃時の威力はあった。
それでもワントップのタスクはプレスとスペース作りであり
中盤以降が上がってこないと点になる確率は極めて低いサッカーであった。
つまり、FWへのカウンターでシュートまでいくことは少なく、
また、後ろの選手が上がる時間を作る必要がある。
さらに、中盤が必ず上がるのでカウンターは受けやすい、
とFWありきの攻撃が選択肢にないことで、
必然的にリスクの高いサッカーとなっていた。
ちなみにバルサやドルトも似たようなサッカーだが、
前線で取られたらそのまま鬼プレスで残った前線の選手が奪ってしまう
またはミスを誘う、そういうやり方で守備を成立させていた。
前線の個々の選手の運動量と守備力がなければ逆に成り立たない。
それが崩れてきた最近のドルトの守備を見れば分かりやすい。
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アギーレ
4-内田 吉田 森重 酒井
1-長谷部
2-遠藤 香川
3-本田 岡崎 武藤
守備時
4-内田 吉田 森重 酒井
4-本田 遠藤 長谷部 香川
2-岡崎 武藤
攻撃時
4-内田 吉田 長谷部 森重
3 遠藤 香川 酒井
3-本田 岡崎 武藤
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4-3-3で、アンカーを置くと名言。
岡田時代に戻るのかと思うが、中盤の二人のうち一人は攻撃的な中盤をおくのが特徴か。
守備時には本田か武藤のサイドのFWがラインまで引いてきて
4-4を形成。
また、アンカーが攻撃時にCBまで下がることがSBが一人上がっても
4人の守備ラインが崩れないのも特徴。
ザック時代のサイドアタックは
遠藤の縦パスに香川、長友、ときにはFWまで絡んで
数的優位で崩していた。
逆にアギーレの布陣ではサイドは1対1になることが多く
SBが上がっても守備は崩れにくいため、思い切って上がることが出来る。
そこで早い攻めで1人、2人で突破し、FWがシュートを狙うのが基本か。
やはりサイドの人選はほぼFWのメンバーであり、
もし彼らが下がらなかった場合、4-3で守ることになる。
だが、4-3の一人が岡崎だったザックと違い
今の香川(もしくは柴崎あたりか)や長谷部は守備力が向上している。
さらに新しい香川はロングパスの精度も高く、両FWを走らせるパスを出せる。
ワイドな攻撃が上手くはまればホンジュラス戦のようなゴールが期待できるが、
岡崎がFWに入ったときに、まだまだ岡崎主体の攻撃ではない。
つまり香川や本田は自分らが上がっていって(オーバーラップ)してシュートするのが
優先順位として高い気がする。
ここがFW主体になればさらなる堅守速攻となるだろうが、
アジア相手ではキープできてしまうこともあって
しばらくは4-3で守り、カウンターもしつつザック時代に培った
押し込んでのパスサッカーも併用するだろう。
サッカーとはバランスであり、何かが一つだけ正しいことは無い。
堅守速攻する、といったからと言って、
パスサッカーをしてはいけない、なんて事はない。
攻めるときはパスサッカーで押し込んで
1点取れば4-4で引いてカウンター。
そんな幅広さも身に付けば面白い
■■■■■■
■主な役割■
CB:基本的には中央で跳ね返す。攻撃時は下がってきたアンカーと3人で幅を広げるのも。
SBの仕事:上がれるときは片方がオーバーラップする。アンカーが下がって3バックになれば
両サイドが上がることも可能。
中盤の仕事:アンカーはCB~中盤まで。一人はビルドアップし一人は前線まで。
中盤と言っても3人とも役割が異なるのが特徴。
サイドの仕事:3トップのサイドは基本的にはFW。守備時はどちらかがラインまで下がる。
1トップの仕事:前線でのファーストプレスとキープが主な役割か。
3つの時代の違いをまとめてみる。
CB
岡田:中央で跳ね返す
ザック:キープして縦パスを入れる
アギーレ:横に大きく広がってパスをまわす。
SB
岡田:とにかくマンマーク!
ザック:とにかくオーバーラップ
アギーレ:アンカーの位置次第で攻守に参加
中盤
岡田:中央は引いて守る
ザック:中央はビルドアップと縦パスを狙う。ときに前線まで飛び出す。
アギーレ:アンカーはCBまで下がる。一人はビルドアップ。一人は前線まで飛び出せ。
(3者3様の動き)
両サイド
岡田:攻守両方倒れるまで・・・・
ザック:FWの裏まで飛び出すのが基本
アギーレ:基本的にサイドのFWという動き。攻められたサイドはラインまで戻る。
ワントップ
岡田:キープとシュート
ザック:前線のプレスとスペースを空ける動き。サイドとの連携
アギーレ:キープとシュート
こうしてみると実に「普通」なアギーレの布陣だと分かる。
まぁこれが正解、なんてのは無いわけで
こうしたいんだろうな、というのを試合から見ただけ。
そのやり方が日本人にあうかも分からないし
相手との関係もある。
さらに今居る選手との相性もある。
だからこそサッカーは永遠にチャレンジし続けなければならない。
少しでも良い状態を求めて
変化し続けることこそが
変わらず強くあり続ける要素かもしれない。
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