35歳を迎えた稀代のファンタジスタ 中村。


彼の有終の美は 無残にも崩れ落ちた。

残り2試合 どちらかにでも勝てば優勝が決まる。
そんな中、まさかの敗戦で迎えた最終節。

優勝を争う広島が先制する中、横浜は勝たなければ優勝はない。


川崎のスピードあるプレスを崩せずに逆にレナトに先制を許してしまう。

優勝には2点が必要となった横浜はなりふり構わず攻め立てる。
上手く繋がらなくても、決して華麗ではなくとも

それでもゴールに迫るその姿は鬼気迫るものがあった。


漫画やドラマではここからの大逆転劇がおき、
日本の10番を背負い続けた彼の最後を美しく飾るのだろう。


だが、

残念ながらサッカーは残酷だ。
そしてだからこそ美しい。

横浜の、中村俊輔の夢は叶うことはなかった。



最後まで死力を尽くした川崎にも拍手を贈りたい。


決してドラマや脚本ではかけない素晴らしいストーリーがそこにある。
リアルなものだけが持つその真剣勝負を見れたことを幸せに思う。


華麗で、ファンタスティックなプレーが持ち味の中村からは
程遠い、泥臭く、走り回り、最後の10分はひたすらにゴール前にボールを放り込み続けた。

パワープレイだからださい、醜い、カッコ悪いのではない。

その必死さは確実に見るものの心に響いたと思う。


その中村の今シーズン最後の勇姿は
いくつかの素晴らしいフリーキックとボールコントロール
そして誰にも真似できないロングボールの質の高さ
そして誰もが真似すべき、献身的に走り回る姿であった。


長い長いロスタイム
GKまでもゴール前に詰めて攻めるマリノス。

その全てが

マルキーニョスのシュートも
斎藤のシュートも
中村のFKも

ことごとくゴールが遠い。
それでもあと1点の失点は許さず守る中澤。

彼らが戦い続けたこの1年の結果はそれでも素晴らしいものであったと思う。


中村の技術以上に、その闘志に感動した90分。


笛がなり崩れ落ちた中村はきっと確かに涙していた。
自身がチームを勝利に導けなかった責任感と悔しさと共に。

おそらくはチームの勝利以上にいいサッカーや 自分が上手くなりたいと願っていた
若い頃の彼にはなかった感情だろう。


昔のように華麗でも華奢でもなく、
それでも中村俊輔は笛がなる最後まで勝利を目指した
1%以下の可能性であっても決してあきらめることなく。。。

彼は間違いなく最後の瞬間までファンタジスタであり
チームの中心であった。

下を向く必要はない。

この結果も、この1年も、そのすべては誇るべきものだ。

僕らは 中村俊輔 を観ることが出来た。

その事に感謝して、そしてこんな1年の締めくくりをくれた
Jリーグを誇りに思う。

こんな素晴らしいリーグをもっと僕らは自慢していい。

激動の1年は終わった。


素晴らしい1年をありがとう。



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