サッカーは退屈な89分と情熱の1分間でできている。

サッカーにおけるほとんどの時間は退屈な時間だ。
もちろん「サッカーを知ってる」人からすれば見どころはたくさんあり、
それはそれで楽しめるのだが、隙を狙ってビルドアップをして、
DFに戻してつなぎなおす。。。その時間が圧倒的に長い。

野球に例えるなら、永遠と牽制球を投げてるようなものだ。

玄人からすればそれすらも楽しめるポイントだろうが、一般には伝わりにくい。

さらに一番の花形といわれるFW(点を取る)のポジションだって
試合のうち80分以上は待つ時間だ。

しかもただ待つだけではなく、常に動き回り、フリーになるようにDFから逃げ
時にはぶつかりあいながら、戦いつづけ、
それでもたまにしか来ないボールを待つ。

DFのほうが忍耐強く守る、とよく言うが、
FWも忍耐の仕事だ。

そして中盤はせわしなく動き続け、攻撃に守備に走り回る。

そうして得た少しのチャンスも、足でけったボールは
基本的には無常にも枠を外れる。

1試合に10本シュートがあれば攻めてる、という感覚。
そのうち、5本が枠に飛べば、、という感じか。

そうすると、90分のうち、枠に飛ぶシュートを見るのは
両チーム合わせても10分に一度。

10分間は行き来するボールを追う展開となる。


かくもサッカーとは退屈なスポーツなのだ。
それだからこそ、その一度のシュート、そして1点に心から歓喜する。


消費の早い時代で、ハイライトばかりが注目される。
日本代表も人気・不人気とシーソーのように揶揄されて久しいが、

そもそも「なんか楽しいから応援する」というスタンスであれば
サッカーで本当に楽しい試合なんて年に何度もない。

W杯予選のヨルダン戦のような試合を見れた者はラッキーだ。

それでも、応援するのは、そのわずかなチャンスをめぐっての攻防
そして人生と同じようにうまくいかないことの繰り返しの中で
それでもあきらめずに、来ないかもしれないチャンスに走り続けたものが
得ることができる歓喜。

それがサッカーの楽しさの一つではないか?
ちょっとつまらない退屈なサッカーをしたからといって

楽しくない、見ない、、、というのは実にもったいない。


ハイライトで事足りる消費世代にはつらいかもしれないが
この「耐えた」後の歓喜に勝るものはない。
仕事のあとのビールのようなもんだ。

そして、そのわずかなチャンスを少しでも大きなチャンスにしようと
ちょっとでも良い形にしようと必死に中盤を走り回り
縦パスを通し、奪われないようにキープし、
戦う選手たちを見ることができるのは
サッカーを愛する者の幸せな90分だと断言できる。




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17の誇りを胸に。