日本 VS ベネズエラ 3-1
U17W杯 グループリーグ第2戦

■試合内容
ボール保持率で圧倒的に優位に立つ日本が、
ミドルシュートやスルーパス、クロスを駆使して攻めたてる。

前半見事に右サイドを破り低いクロスをファーで落としてけりこんで先制。
それでも意地を見せるベネズエラが唯一のシュートを決めて1-1。

後半日本はさらにギアをあげて、またも完璧な崩しから2点目。
その後何度もGKとの1対1を迎えながら得点は奪えずいやな空気も流れたが、
ドリブルを止められてPKを奪取。
これを危なげなく決めて3-1で勝ち切った。

■「サッカーをしている」 U17
U-17 の選手たちはサッカーをしてる、と感じた。
どういうことか?

日本の選手はA代表でも、「今はドリブル!」「今はパス!」など、
ある程度の決まりの中で動いてると感じる場面が多い。

こういう攻めのときは左に展開、や
ここではワンツー、など。

攻めをある程度系統化することで、選手の判断に統一感が生まれ
同じ攻め方を共有できるメリットがあるからだ。

そして、「こうする!」と決めたときの日本の技術は高い。

たとえばエラシコというフェイントをしてください、というと
日本人はかなり上手にできるだろう。

だが、サッカーとはそうではない。
相手がいて、それをだますのがフェイントであり、
ドリブルとは相手がパスをしてくると思ってるところを
突破するのだから抜ける。
スルーパスにしても、どこにパスをするにしても、相手があってのこと。

今からヒールパスをしよう!なんてボールが来る前から思っていたら
どんなに上手にしても読まれるし奪われる。

相手が前を塞いだ、味方が後ろにいる、そしてダイレクトじゃないと通らない
といった思考のもとに、ヒールという「選択」が生まれる。
シュートも同じ。

そういう「判断」の部分が結局弱いのかと思っている。


翻ってこのU-17の選手たちは本当にうまかった。
もちろんボールを扱う技術、そしてテクニック(とくにトラップ)は上手い。

ただそれだけじゃなく、たとえばトラップして、右を見た瞬間に相
手がそのコースを消しに来たとする。
その瞬間に右に体重を乗せたまま、左足で前にドリブルをして
相手を抜いてしまう、そんなシーンが多々あった。

つまり不格好でも、フェイントでもなく、
相手が右を切って、そこに体重を乗せてるから
無理やりでも縦に行けば抜ける、という判断をしてるわけだ。

場面、場面で判断をし、その結果フェイントやパスやドリブルという選択をしている。
これが「サッカーをしてる」という状態だと思う。

サイドで持ったら縦を見る、コースがなければドリブルを仕掛ける。
止められたら後ろに戻す。。

同じことをしていても、それが決まり切った判断の無い中での行為なのか、
常に相手の動向を見ながら選択したことなのかが大きく違う。


そしてU-17の選手はその都度「相手が守っていないとこ」を攻めるという意識は共有されていた。
相手の穴を突くことだけは決まりごととして存在していた。
だから裏があけば裏を突くことができ、サイドがあけばサイドを突破する。
中央があいてればドリブルを仕掛け、相手が引いてきたらミドルを打つ。

実にあたりまえのことを当たり前に相手より早くやり続けた。
それがポゼッション60%を超えて、シュート20本以上浴びせた圧勝につながった。

選手個々の判断は大会が終わってからまた見てみたい。


ただ一言、付け加えるなら、
シュートに対して、相手DFの動きとGKの守ってないところに打つ
という判断だけは誰もできていなかったように見える(笑