27年間もの間 同じチームを率いたファーガソンが勇退した去年。

世界は震撼しただろう。

そして今年、Jリーグで現役時代の華麗さとは逆にひっそりと
そして感傷に浸りながら また一人現場を去る。

ストイコビッチ。


僕がサッカーを 本当の意味で好きになったのは 彼が居たからだ。


彼の華麗なテクニック。

人を小馬鹿にしたような足技。

そしてスタジアムではボールのない再度でお茶目におどけてみせたり、
パスが来なかったことを 観客に向かって

「なんで?(*`Д´*)」

 って顔してみせたり。

ひとつひとつのプレーに楽しさと情熱が詰まっていた。

それでいて誰よりも負けず嫌いで感情的で
何枚ものイエローを主審からもらったり突き返したり笑

監督になってからもベンチに飛んできたボールを
どう見ても苛立ちのままに蹴り飛ばしてみたり
そのボールがそのままゴールに入ってみたり笑

すべてのプレーと場面で まさに「絵になる」 人物だったと思う。

けれどその生粋の負けず嫌いに反して「勝利」からは大分遠いサッカー人生だった。

レッドスターにいたころがもしかすると一番のびのびとしていたのかもしれない。
当時ミランの時期DFの要といわれたマルディーニを置き去りにした彼。
マラドーナと互角の戦いを演じて仲良くPKを外して散ったW杯。
政治的理由ではく奪されたユーロ選手権。
復活後のユーロでも監督からの不遇でしばらくベンチを温めた。

Jリーグでも何度も華麗なプレーを魅せながら
勝利に直結したことはそう多くはなかった。

現実主義だけでは語れない彼の魅力。
それはもしかすると監督になってからも影響したのかもしれない。

思った以上に堅実な采配。
徹底したサイド攻撃など意外性のない采配に驚いた。

そしてみごと念願だったJリーグでの優勝を果たす。
それでも勝利と敗北は危うい線の上にあったように思える。

彼のプレースタイルとは対極な戦術でありながら
手堅いとは言えない、どこかあぶなかっしさと
なんでここで負けるかなぁ 笑 という 茶目っけとw


監督としては徹底した現実主義で
手堅く一つの勝ちを引き分けを拾う。
それが正しいのだろうし、彼もそうあろうとしたのだろう。


浮き沈みの激しい人生そのままに
監督時代も浮き沈みの激しい順位となった。


らしくない采配と、彼らしい勝ち負けの不安定さと。


本当に本当に 長い、長い間、 この日本にいてくれて

そしてサッカーとは 勝ち負けがすべてじゃない、
そこを目指してはいるけれど

それこそ その一つのプレーが一つの芸術作品であるかのような
そんな姿を魅せ続けてくれて


今はただ 感謝の言葉を贈ります。


正直引退のときも泣きそうになったけれど
これを書きながら 「あぁまた一つの時代が終わるんだな」と
感慨深いものがあります。


僕にサッカーのすべてを教えてくれた
ストイコビッチに「ありがとう」「お疲れ様」 そして 「いつか、また」と。


申し訳ないけれど
後にも先にも彼よりも好きな選手は僕の中に生まれないと思う。


僕にとって、彼は サッカーの「すべて」でした。


来年からは西野さんという噂もある。
こうしてサイクルは回っていくし時代は進んでいく。
Jリーグもまだまだ捨てたもんじゃない!