かつてこの国の映画界には、巨匠と呼ばれる監督と鬼才と呼ばれる監督が同時期に、
存在した。
巨匠の方は、誰でも知っている黒澤明監督だ。
■主な作品
「七人の侍」
「生きる」
「羅生門」
「用心棒」など
そして、鬼才の方は、今村昌平監督である。
■ 主な作品
「楢山節考」
「復讐するは我にあり」
「黒い雨」
「人間蒸発」など
巨匠と鬼才は、一体どう違うのだろうか?
はっきりとした線引きはないが、どちらかと言えば巨匠の方が格が上のような気がする。
黒澤監督亡きいま、日本映画界には巨匠と呼ばれる監督は存在しない。
しかし、今村監督が亡くなった後から、鬼才と呼ばれる監督が出てきた。
それは、三池崇史監督である。
■主な作品
「殺し屋1」
「オーディション」
「ジャンゴ」
「十三人の刺客」など
日本映画界でもっとも忙しい男と言われていて、年間2~3本は当たり前で撮っている。
三池監督は、今村監督が開いていた映画学校出身ということもあり、今村監督にかなり影響を受けている
監督のひとりだろう。
実は僕も同じ学校を卒業している。
しかし、あまり軽々しく鬼才なんて言葉を使わないでほしい。
そんなに簡単に、鬼才と呼ばれる監督が出現するわけがない。
辞書を開くと鬼才の意味は、人間とは思えない鋭い才能の持ち主とある。
そんな映画監督が、日本のみならず世界中に何人いるのだろうか?
甚だ疑問である。
海外でいえば、マーチン・スコルセッシ監督が鬼才と呼ばれているが、彼の作品やキャリアを考えると
そんな風に呼ばれるのも頷ける。
昨日、鬼才!三池崇史の「十三人の刺客」をやっと観た。
■ 出演 役所広司 稲垣吾郎 松方弘樹ほか
僕は、三池監督のすべての作品を観ているわけではないが、なんかもっともいい出来のような気がする。
この映画は、1963年に公開された「十三人の刺客」のリメイクである。
十三人の侍が、暴虐残忍な明石藩主松平斉韶を、天下安寧のため暗殺するといった内容で、
「七人の侍」と市川崑監督の「四十七人の刺客」を合わせたような感じである。
出演 三船敏郎 志村喬ほか
出演 高倉健 宮沢りえ ほか
共通していえることだが、すべての作品のタイトルに、人数が入っている。
このころの映画タイトルのブームだったのだろうか?
「十三人の刺客」は、ちょっと殺陣のシーンが長すぎた気がする。
暗殺を決意する武士たちの姿を描いているシーンは、まるで「七人の侍」の志村喬が、町へ出て、
浪人たちを説得するシーンと重なり、中々見ごたえがあった。
もう少し、武士たちの背景をきっちり描いてから、戦いのシーンへ入っていった方が効果的だったのでは
ないだろうか?
まあ、鬼才と呼ばれる三池監督のことだから、そんなことわかっとるわいと言われそうだが・・・
配役は、斬新で面白かった。
鬼才の称号は、三池監督としても、巨匠と呼ばれる監督が不在の日本映画界、
一体だれが巨匠の座につくのだろうか?





