あるお笑い芸人の話 | コーキのテキトーク

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東京での20年間を


綴った


「東京エスケープ」



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番組ディレクターとしてデビューしてちょうど1年後、30歳になったとき、




ある芸能人と初めて仕事をした。(あえて名前はふせておきます)




かれこれいまから15年前の話。




コンビを組んでいるお笑い芸人で、いまの年齢は50代だと思う。




その頃、キー局の番組には、バンバン出ていた。




某キー局のプチ旅番組の仕事で、




その回は、山手線を途中下車する内容だった。




タレントを三日間拘束して、様々な場所でロケを敢行した。




その最終日、女性専用のボクササイズをやっているジムへ行った。




目的は、ジムに通う女性とタレントが、ワンラウンド戦い、その模様を




撮影することだった。




実は、そのタレントは空手二段、かなりの兵だった、しかも男性なので




軽い気持ちで、やってみてくださいと言ってしまった。




3分間のラウンド中、好戦はしたが、イマイチ面白くない。




すかさず「スイマセン、もうワンラウンドやってもらえませんか?」と




言ってしまった。




タレントは、ちょっと嫌な顔をして、やってくれた。




しかしそれでも、面白くない。




またまた、「スイマセン、もうワンラウンドだけやっていただけないですか?」と・・・




自分もディレクターデビューして、1年足らずの駆け出し者だったから、




面白さがイマイチつかめない。




そして、問題の3ラウンドが始まった。




女性のほうは、まったく衰えをみせないが、さすがにタレントは、




終了のゴングとともに、マットに倒れこんでしまった。




それから1時間以上、マットから立ち上がれず、ずっと傍らにいて、




介抱を続けた。




なんとか立ち上がり、タレントは、出口へ向け歩き始めた。




僕は何度も謝罪しながら、最後のコメントだけ、収録させてくださいと言ったが、




タレントは、怒って帰ってしまった。




それから数日後、マネージャーから電話があった。




「もう、うちの○○は、あなたと絶対仕事をしない」と言われた。




そのときは、大変気持ちも落ち込んだ。




お笑い芸人なんだから、芸人魂を出してほしかったが、まあこんなもんか・・・




と、かなりガッカリした。




月日は流れて思うことだが、いまとなっては、むしろタレントと喧嘩してよかったと思う。




僕は、純粋に面白いと思わなかったし、妥協できるテクニックを持ってなかった。




あの時は、経験不足で分からず、無理を押し付けてしまったが、それも自分には、




大切なことだったと思う。




それで二度と仕事しないなんて言われれば、所詮それまでの関係。




そんな希薄な関係性の中でしか、僕らは仕事をしていないのだろう・・・




まあ、そんなもんだろうね。



むしろ、タレントからそんな風に言われたことは、自分にとって勲章である。




人間が人間を動かすんだから、スムーズにことが終わることのほうが変じゃないかな?




彗星の如く、現れては消えていく芸能人たち・・・




忘れないで欲しい、光り輝く瞬間は、一瞬である。




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