20年間の東京生活を綴った「東京エスケープ」
いまから10年前の2000年、僕は新宿でのホームレスディレクター生活から、
這い上がり、川崎駅の駅から歩いて10分ほどの部屋を借りた。
たまたま友人が近くにいたことから、川崎に住むことになった。
部屋は借りたものの、家具もベッドも何も無かった。
何も無い部屋というのは、味気ないものだ。
その時、嫌というほど思い知らされた。
仕事柄、何が無くても、テレビだけはないと仕事にならないと思い、
なけなしの金をはたいてテレビを買った。
ビデオ内蔵型のテレビで、当時、5万円くらいで買ったと思う。
テレビを手に入れ、家具を買い集め、ベッドを買い、食器を買い、コンポを買い、
何も無い部屋を少しずつ部屋らしくしていく。
自分は何度この繰り返しをしてきただろうか?
それからいろんなことがあったが、このテレビだけは幸い失うことはなかった。
僕は、いまから6年近く前、着の身着のままで東京から車で帰ってくるとき、このテレビだけは、
持って帰ることができた。
やがて福岡での生活が始まり、結婚をして、妻と新たな生活が始まったとき、寝室用にと
このテレビを持ってきた。
自分にとっては、東京時代から考えると唯一の「私的財産」である。
しかし、それもついに失うときがきた。
寝室用に、新たな地デジテレビを購入した。
■ レグザ32型
旧型から ↓
新型へ
10年も経過すると、これだけ薄型になって、技術の進歩が伺える。
もう我が家に、アナログテレビの必要性はなくなった。
僕が、10年前に購入したテレビも処分することにした。
物への執着心が、あまりない自分だが、ほんの少しだけ寂しさを感じる。
人は、いろんなものを捨ててこれたから、新しいものを手に入れることができる。
だから生きていける・・・多分・・・
なんてことのないテレビだが、そんなことを考えさせてくれる。




