トヨペットクラウンデラックスのレストアと発見記事です。
レストアと云ってもオリジナルペイントを剥がして、再塗装する事はしていませんし、部品も全てオリジナルを生かしております。昨年12月に程度の良いドナーカーが手に入り、これを使って修理しよう!と考えました。
左から1962年製造、63年製造、64年製造です。この3台を63年製造の個体を使いレストアしました。
とても美しく仕上がりました。
リヤから見てもウットリ!
ドナーカーの在りし日の姿。(恐らく昭和38年中期~末期製造?)
元々ルーフにあるバンダイベビーのタグが欲しくて入札。然し商品と睨めっこをしていたら、ジャンクとは云え良い部品がゴロゴロあり、欲しくなりました。当初はタグ以外では62年製造だけへの移植でしたが、作業依頼した業者がかなりの腕利きなので、欲が出て‥‥
殆どの部品を入れ替え、ポリッシュして移植した側は驚く様な美しさになりましたが、こちらは
ボロさが加速しました(爆)
修理個体毎に状況を書きますが、
部品の多くを移植した割に、思ったよりみすぼらしくなりませんでした。
昭和37年(1962年)末製造
年式打刻制度の実車では1963年式になりますが、以前の記事の通り昭和37年12月発売なので、どう見ても私の黒は昭和37年製です。事実修理をしてくれた業者の話では、「黒は最初製造に見られる。」と話され、63年製造の黒/白はやや遅れた時期だそうです。
1月のあなたはスペシャルランクでした!何を根拠に昭和37年製造? | 髙村円淨のブログ (ameblo.jp)
これがその時の証明記事です。
フロントグリル、バンパーは先に書いたドナーカーから。これを研磨しましたが、状態が凄く良い。
より金鍍金を強調した撮影です。更にバンパーの鍍金とラジオアンテナの状態が良い。元のアンテナは不具合が多く、コツを掴んで上手く引けば立つ状態でした。
リヤガーニッシュ、バンパーもドナー個体から。特にこのリヤガーニッシュは美しい金鍍金でした。
撮影した中では一番美しく金鍍金が撮れ、コレクションのなかでは一番状態が良い金鍍金である事も証明できます。
前後窓もドナー個体から。
入手当時色抜けした窓に幻滅していましたが、それはそれで良いだろう。としていましたが、状態が良い初期物が入れば俄然やる気が出ます。
レストア後何気に見比べこの写真を撮ったら、デッドストックの紅/白より窓の青が濃いと感じました。
箱から出すと、やはり濃い青ですねぇ~。
デッドストックでも窓の色抜けがあるんですね。
窓の作りも初期製故、出来が良い。
更にボデーにも磨きがかかり、美しくなりました。
元々この個体は塗装の状態が良く、年式相応のヤレがありそれはそれで気に入っていました。
黒、Finemodel集合! | 髙村円淨のブログ (ameblo.jp)
こんな記事も作りました。
こんなに車内が青味掛かる事はありませんでした。
ステアリングが薄ら青く感じます。
先程のデッドストック紅/白。ステアリングが青味掛かっていない。窓の青味がそもそも薄い事がこれでも判ります。
モデルカーズ58号に掲載された1964年製造と比べましたが、レストア後の黒の方が明らかに濃い青です。
1965年辺り製造のベージュ。完全デッドでもステアリングの青味が薄い。(1964年製造と同じレベル)
それまではこの1963年製黒/白が一番青味が強かった。ドナーはこれより若干青味が濃い感じがしました。ドナー個体も恐らく何十年と日の当たらない所にあった事が推測できます。
そして「疑惑‼」
入手当時から疑惑がありました。
幻の黒を手に入れました | 髙村円淨のブログ (ameblo.jp)
この記事の通り、プラスねじが幻滅する原因です。更にほぼ間違いなく修理したと云える痕跡が
水色で図示した爪がへし折れて、おかしな修理痕がありました。現状ではこれ以上爪を曲げると間違いなく折れて修理が大変になるそうです。幸いドナーの爪とバンパーの程度がとても良く、元の問題ある部品はドナーに取り付けました。この時点で間違いなく私の黒は1度手を加えられた。と判断できます。
爪が折れる=分解して何処か部品を交換した! 疑惑が浮上しました。やはりおかしいのです。
当初車内内装の部分は、元の部品を使う方針を私は示しましたが、全バラしたと報告があったので、恐らくまだ修理は行われていないだろう!と勘括って「車内内装部分は今までの物をそのまま使って下さい!」と話したら「あっ!ドナーの方が全然程度が良くて、昨日の段階でドナーの物に入れ替えましたよ!それで明日送りますよ、綺麗に出来たのでビックリしますからねぇ~(笑)」然し私は「ガ~ン~‥‥‥」💦💦💦終わったぁ~😢😢が初めの気持ちでした。
水色括りにありますが、ドナーカーではダッシュボードの波打ちプレス痕が確認できていました。ツルリとしたものではないのです。出来が悪い昭和38年製造だぁ~でした。(その時点では、昭和37年製造はツルリとした物と思っていましたので、ガ~ン‥‥だったのです。)
然しそれを覆す事態が発生し、入手当時の車内部品こそが非オリジナルだろう!と結論付けました。
後に登場しますが、昭和38年初め~中期製造の黒/白の車内部品がドナーカーに移植されました。
今まで濃い青色で気付きませんでしたが、色抜けした透明窓になると著名にプレス皺が判り、想像以上の酷い出来でした。だからこのプレスに引っ張られる形になり、ダッシュボードが変形したのだ。(上の写真参照)
当然ながら、今黒に付いた車内部品にもプレス皺がありました。これで本来の姿に戻りました。
バンダイベビーのシール痕跡、金鍍金グリルからしてこれは昭和37年末~38年の中期迄の製造。更に今「存在が判らん!」と頭を悩ませている白/赤で、漸く最近私の黒と同じ時期の最初期製造品と考えている個体です。(この塗分けはこれまで3個以上見ていますが、どれも程度が良くない遊ばれた個体だけ)
ヤフオク画像。
上に注目。昭和37年製造の可能性があり、今の黒個体と同じプレス皺ががあります。ドナー個体には黒/白の物を移植しましたが、これは明らかな最初期、初期製造品。昭和37年製造を主張するならば、これとほぼ同じ皺があるべきで、黒にもこれと同じ、似た様な車内部品でなければなりません。
昭和39年製造。これはツルンとしています。赤囲みにはプレス痕が殆どない。同時に鶯色も同じでした。尚鶯色は昭和38年中期~末の時期と考えております。となると、黒は昭和37年末製造なので、このツルリとした状態がおかしい
同様に昭和39年後期~40年頃製造品もツルンとしています。(紅/白)
同様に昭和40年製造らしいコロシアムベージメタリックもこの通りツルン。
現在は黒/白に移植されましたが、黒に有った車内部品。バンパーの爪の異常やプラスねじは事実ですので、恐らくボデーを一度分離しており、そこまでリスクを負う行動を取るとなれば「多分昭和39年以降に製造された車内部品に入れ替えられたと思う。」と疑惑として浮き上がりました。恐らく前の持ち主はツルンとした物にしたく交換した?
今回修正出来ましたが、赤囲み部分、丁度ハンドルの上の部分が凹んでおり気に喰いませんでした。今までここが目立たない様に撮影していました。(現在は黒/白へ移植)黒/白のモールは錆が著しく、綺麗にならないので昭和37年末製造の黒個体からの移植です。
更に傷にはタッチペイントしましたが、屋根の先端部分2か所に、窓モール取り付け部分と思われる場所に傷がありました。どうも疑わしい。部品交換したな!理由は想像つきません。
思わぬ展開で黒はオリジナルに戻りました。更に今は箱までもがオリジナルです。
アンテナも元の物は不具合があり、ドナー個体から移植。益々出荷当時の姿になりました。
昭和38年(1963年)初め~中期製造 先に紹介した黒と比べるとやや新しい時期に製造したと思います。この個体は第1回日本GP開催前には製造販売した物と考えられ、恐らく黒/白モデルを追加発売した直後が私の推測です。まず間違いなく昭和38年製造ですね。(レストアしてくれた業者は50台程バンダイあかばこトヨペットクラウン修理をしている方からの話なので、まず間違いないでしょう。)多分ドナーカーは日本GP優勝前後、ないしその少し後だと推測。
こちらは落札額では一番安かった黒/白
然しフロントバンパーとグリルは私のコレクションの中では一番程度が良かったです。そのまま磨きを入れました。
リヤに関しては昭和37年製の黒から移植。元の部品は腐食が酷かったのです。(ドナーカーの画像参照)
黒の37年製造も決して状態は悪くないが、金鍍金はドナーの方が程度が良い事は確かです。無論磨きを入れたらドナー程ではないが美しかった。
窓に関してはフレームは昭和37年末製造の物からの移植で、スクリーンだけ元の部品を使います。
この青窓の移植は一筋縄では上手く行かないのです。
簡単な気分で依頼しましたが、特に窓は大手術です。素材が1㎜と薄くて割れやすい。おまけに古いので。
一番のメインはボデーもですから相当な大掛かりレストアです。
元々黒にあった車内部品を取り付けましたが、程度は上の部類ですね。赤丸部分が軽い錆でこの位は年式相応です。尚オリジナルではあるが、完全オリジナルではなくなりました。でもそこまでオリジナルを知る者は今後現れないだろうから、価値には左右されないと思います。少しでも綺麗な方が良いでしょう。
元の黒/白の部品は、ドナー個体に移植しましたが、かなり錆が回っていました。こちらは錆が酷く全て囲う事が出来ないレベルです。
後ろ席部分も酷い。次に紹介するミミズ錆もフロアー部分に出ています。
元々ボデー下部分(白の部分)がミミズ錆で酷い状態でした。窓のモールもかなり酷かった。(磨きを入れたが、錆の根が深くて残った)
後ろは全て黒/白からの物。これも磨きを入れましたが、アバタが取れません。
こちらもミミズ錆が酷い。
丸々ボデーを移植して、デッド品と比べます。
殆ど同じレベルまで仕上がりました。実はドナー個体は物凄くヤニ臭く、喫煙しながら鑑賞していたのだろうと考えています。そのせいかやや黄色味掛かっています。
このドナーが状態が良かったので出来た技です。
上から見ても美しさが伝わります。
これならどこに出しても恥ずかしくない。
ミミズ錆が殆どない事は良い事です。アンテナは元の物で、特に問題がなく再利用出来ました。
どちらの個体もリペイントはやって居ません。無論再鍍金なんて「大それた事」もしていません。全て当時のままの塗装や鍍金であります。
窓もこれだけ変色しやすい素材ではあるが今尚この美しさを保っている事は驚きます。
鍍金を長持ちさせる方法、埃をマメに払う事。
黒/白に付いた37年製造からのバンパーをよく見ると研磨傷がかなり残っていました。(製造時からです)
改めて今回手に入れたドナーカーは程度が良く、ミラーこそ折れたが、元は子供の手には渡らなかった個体ではないでしょうか?その為入札前、紅/白を探していたポルシェさんに確認を取ったのです。
今回入手したドナーもそうですが、黒もボデー程度は上である事は確かです。
金色グリルタイプは全て「サブフリクション」と表現した水色囲みの部品がありますが、これ正体は紙で出来たサイレンサーの様な物でフリクション音の効果を上げる様な役割を果たしている様です。比べてもその違いが判りませんでした。スカイラインS50D-1にも同じ物が付いていますが、恐らく紙製のそれだと思われます。尚シルバー鍍金の車輛は最初期からサイレンサーは付いていません。
昭和39年(1964年)中期迄製造
既にこれについては下記記事でUPしていますので、こちらを。
インペリアルマルーンメタリックに関してはこのタグがど~しても欲しかった。これが落札価格の半分と考えたほど。
兎に角これは探しまくりました。恐らくはデッド品上がりの個体なので、それにタグがないは不自然。ある時期から意地になって探していた逸品でした。更に程度が良いドナーカーなので頑張るのです。
11月のあなたはスペシャルランクでした!modelcars58号掲載車 | 髙村円淨のブログ (ameblo.jp)
ここが詳しいのでこの記事を見て下さい。
黒と比べても窓の青味はやや薄い位でした。でも無理にこれ以上手を加えません。現状維持が重要使命です。今回入手したドナーカーはとても良い買い物したし、お得だと思いました。
ダッシュボードで製造年が何となく
判る気がします。黄色とピンクに分かれて存在する事は知っていましたが、単にコロシアムベージメタリックと紅/白だけは黄色ダッシュボードと思っていたら、ピンクの個体が存在する事が判りました。コレクションとしてストックした個体にピンクダッシュボードがあり、プレス皺も然程ではなく、後期型と見るのが自然だと思いました。
この2台が黄色ダッシュボードでした。まずは紅/白から
判別ポイントは紅/白や黒/白は恐らくHIビームと方向指示レンズが赤く色塗りされているのが特徴です。私の個体以外でもこの様な塗り分けがあり、子供が悪戯で塗ったのではないでしょう。
これが製造販売された時期はオレンジ箱なので暗紅色の箱ではないから、旧モデルである知識はありました。「黒/白、紅/白こそが昭和38年製造」と思い込んでいました。更に私お得意理論、「初期型はコストを掛けている」があり、金鍍金、アンテナ、フリクション前のサイレンサーと凝っており、間違いなく昭和38年製造!の持論を持っていました。
この通り黄色ダッシュボードに赤塗色と云う現状を鑑みると「昭和38年製造論」は引っ込めなければなりません。
一番原因はドナーカーの初期製造品が手に入った事が大きい。初めの頃は本気で紅/白は黄色ダッシュボードと思い込んだから。そういう点でも今回のドナーカーは勉強になりました。
自慢の完全デッド品。
タグは当然。
当初この栞があるから「昭和38年製造!」と頑固になりました。然しそうではないです。
紅/白と同様コロシアムベージメタリックだから、黄色の車内部品にしたはおかしな理論です。
プレス皺が少なく、黄色なので間違いなく昭和38年製造ではない。
完全な証拠画像。ピンクですよね。
オマケにこれまでがあるから云い訳無用です。これが付いた鶯が欲しいよなぁ~。出てこい!箱なしですら見た記憶がないです。コロシアムベージメタリックではこれを入れて3個みました。
私が拘るこのステッカー。もし昭和39年迄貼られたとしたら、せいぜい5月まで。カタログの世界では昭和38年一杯迄優勝メダルステッカーが貼られ、39年3月発行のカタログにはササッと38年の日本GP優勝について触れられていますが、嫌味なほどではないです。この年の2月には5月の第2回では到底プリンスには敵わない!と降参した時期で、排気量1600㏄~2000㏄クラスにポルシェを投入する方針が決定した時期です。
同時に38年の末にはG7エンジン搭載のグロリアが投入される事は判っており、とてもとてもRS40では勝てる見込みがなく、このステッカーは昭和38年一杯がせいぜいと考えています。なのでピンクダッシュは昭和39年の半ばが変更時期だろうが私の考えです。
ブログスタンプ全獲得おめでとう!…‥有難う!
▼3月のあなたはスペシャルランクでした