ソエとリファも合わせたかったな | May1993-2022アーカイブ

May1993-2022アーカイブ

May1993-2022アーカイブ

日本学校の高校一年生たち280人に囲まれて
今年もマダン劇をやってきた。
最初の一時間は「在日とは」という講義をして、次の一時間はマダン劇。
この課外学習も、数えてみたら6年目。
毎年みんなはじめは、在日も、朝鮮学校も、北も南も、その存在なんて知らず、というか関心がない。
それでいい。
それがいい。
たった一日の少しを「はじめまして」と出会って、小さな縁となる。
毎年この講義が楽しみ。
今年はどんな子たちだろう?と。

今年は講義の時にチセを紹介した。
きっとこの280人にとって、ほとんどが朝鮮学校と初めて接する。
昔と違う制服。同い年の子。
それでいい。

僕だって反発しながらも、やはりメディアには毒されている。
チセを会わせる前は何度も悩んだ。
緊張もしたし、きっとチセも緊張したと思う。
これから何度も「はじめまして」の前に緊張するし葛藤する。
それでも出向いて出会った後には光を感じる。
これからもっと色んな「はじめまして」と出会えますように。

マダン劇でも生徒たちは積極的に舞台上で遊んでくれて、今年もまた出会いの日は無事に終わった。
その後、演劇部の子たちと少しだけ交流。
大会の前なのに会いに来てくれて、チセも演劇部希望の部長として、初めて他校と正式に挨拶を交わす。
以前は大谷高校を観劇して初めて日本学校の演劇部に刺激をもらって、そしてこの日はいよいよ日本学校の演劇部と初交流。

ここから何かが始まるかな?
この学校も最近メキメキと演劇部が元気になっているみたい。
お互い刺激になればいい。
是非ソエとリファも合わせたかったな。

まだまだここから第一歩。

もしかしたら君たちの代では花咲くまではいかないかも知れない。
花咲く事が華やかだから、なかなか届かない事に苛立ちを感じるかも知れない。
でも、世の中の全てには最初に必ず「種」が在る。
必ず誰かが「はじまり」を歩んで、いくつもいくつも種をまく。

君たち三人は「はじまり」を選んだんだ。

もし仮に
仮に君たちの演劇部が実を結ばなかったとしても
何年も何年も後に誰かが
「演劇部を作りたいけど、ここじゃ無理かな」
と悩んでも

「昔々、ここで三人の先輩が作ったよ」

と、いつかどこかで幼い誰かの背中を押す。

金哲義