誰もが一度は口ずさみ、ひとたび耳に入るとしばらく脳内BGMとして君臨し、いつでも鼻歌でフンフンできる曲――というのは、なかなかの名曲だと思うのです。
そう、絶対と言い切ってもいい程に誰もが知っている、ガーナ民謡《チェッチェッコリ》。
ちびくろさんぼ的なイラストのジャケットが可愛い。右の人は吹き矢かい?楽器じゃないよねこれ。コンガらしきものを叩くお兄さんを狙っているようにしか見えないのですが。可愛らしさとは裏腹に、どんなメッセージを含んでいるのでしょうか。
あれ、でも待って、コンガってキューバ発祥の楽器じゃなかったかしら。この形だとパンロゴかな。パンロゴはガーナの太鼓だった気がする。でも、パンロゴは周りに杭を打ってあるので、イラストのだとちょっと違う。こんなやつね⬇︎
キューバとガーナじゃ大陸も違うわ。
歌の知名度とは裏腹に、曲のことはほとんど知らない、という人が圧倒的多数ではなかろうか。
だってだって、ガーナ民謡だって知ってた?ガーナがアフリカのどこかなのは知っていても、アフリカ大陸のどの辺にあるのか、正しく言える人はどのくらいいるのかしら。テストに出ますよこれ。
ここよ、ここ。この地図もWikiから借りてきたわ。
ガーナといえばカカオの産地だとか、野口英世が黄熱病の研究をしていて亡くなった国だとか、そんなくらいしか知らないわ私。
そもそものところで、曲のタイトルですら正しく知ったのは大人になってから。チェッコリ、だと思ってたし。
今でこそチェッコリ玉入れなんて言って、運動会で一年生あたりが腰に手を当てて踊りながら玉入れするのがわりとスタンダードになってきてるけど、私が小学生の頃は曲に合わせてダンスするだけだったもの。
ちなみにどうして玉入れに《チェッチェッコリ》なのかというと、用意スタート!のピストルの音が運動会の喧騒の中聞き取りにくいとか、一年生がびっくりしてしまうとか、いろんな意見がありました。びっくりするなら、徒競走のスタートはどうするんだろ…。ていうか、そんな理由なら別の曲でもアリだよね。
何ていうタイトルで、日本語じゃないこれはどこの国の曲で、どんな内容の歌詞なのか、なんてことは、誰も教えてくれなかった。おそらく、先生たちも知らなかったのだと思うし、気にも留めなかったのでしょうね。
さて、聴いてみます。
ムダにグルーヴがあります。すごいっす。超ファンク。これジャンル何?ラテンファンク?申し訳ないけど、大杉久美子の歌が耳に入ってきません。ベースに全部持ってかれる。視力5.0の目で川向こうのパイソンに狙いを定めてジリジリ距離を詰めて行く、みたいな、挑戦的な緊張感があります。
運動会などではPAシステムがあまり整っていないので、はっきり細部まで聴こえていませんでしたが、こんなにブラックだとは。ガーナ民謡恐るべし。
演奏データが全然わからないのですけど、これはキてます。このアレンジは秀逸。フルートを入れたのがもうね。後半、3時あたりにクイーカもいますね。イカす。《オバケのQ太郎》に並ぶわ。
そして《チェッチェッコリ》といえば全国共通、謎の二酸化マンガンです。電池か!
謎言語の歌詞の中、唐突に聞き取れる「オーマイ」にすがりつくように、何度も脳内で反芻するのですが、どうしても何を言っているのかわからなかったこども時代。大人になってもわかりませんでしたが。
――チェッチェッコリ
チェッコリ サ
リサンサマンガン
サンサマンガン
ホンマンチェチェ
というのが、日本で広く歌われている《チェッチェッコリ》の歌詞です。多分。二酸化マンガンでもオーマイでもなかった。
でね、何が言いたいかというと、《チェッチェッコリ》はこんなグルーヴィーな曲ではないんです、本当は。
こどもたちが掛け合いを楽しむような歌で、歌詞の意味も日本で言ったら「オチャラカホイ」や「せっせっせーのヨイヨイヨイ」的な感じだそうです。
さあ、サンドラ先生と一緒に歌いましょう!
Kye Kye Kule
Kye Kye KofinsaKofinsa Langa
Kaka Shilanga
Kum Adende
Kum Adende, hey!
Kaka Shilanga
Kum Adende
Kum Adende, hey!
全然違う曲ですけど。歌詞も。
なにがどうなってああなった…。