【能登半島地震】72時間の壁なんて言わないでほしい | LaboFB・永山政広の防災ブログ

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大災害が発生して3日が経過しようとするとき、

必ずと言って聞こえてくるのが「72時間の壁」という言葉です。

 

水分や栄養の補給ができないと3日間が生存限界だというのが根拠らしいのですが、

私は、科学的だとは思っていません。

確かに水分や栄養補給は重要な要素ですが、

その人が置かれている環境次第で、必要な水分や栄養量も変わってくるはずです。

エネルギー消費が抑えられれば、3日以上持ち堪えても不思議ではないはず。

 

むしろ、体温の低下や身体への圧迫、外傷の状況などの方が大きな要因になると私は思います。

 

後で振り返ってみたとき、72時間あたりを境に救命率が低下しているということは、有り得るでしょうが、

それはあくまでも統計上のハナシ。

 

現在、多くの救助隊員が必死に救助活動をしています。

誰一人、72時間の壁なんて信じていません。

 

13年前の東日本大震災のおり、緊急消防援助隊として仙台の地で活動した私も、

同じような想いでした。

 

繰り返し襲ってくる強い揺れや津波情報。

そのたびに作業を中断し退避しなければなりません。

思うように進まない救助活動……

とても生存できるとは思えない過酷な状況……

それでも、現場にいる隊員は、誰一人諦める者などおりません。

 

なぜなら――

私たちが助けようとしていたのは、閉じ込められた人だけではなかったから。

その人の帰りを待ち望んでいるご家族たち――その期待を背負っていたのです。

もし諦めたりしたら、家族の心までも見殺しにしてしまうではないですか。

 

だから、今日も能登半島の地で多くの隊員が必死に活動しているんです。

72時間の壁――そんな言葉、やめようではありませんか。