<鉄人、ついにピッチを退く>

開始数分、白井がサイドでボールを奪い、早川が飛び出していてガラ空きになったゴールマウスを見逃さずシュートを放つ。早くも先制かと思われましたが、すぐさま反応した早川のセーブに阻まれる。


この日、シャドーはあえてプロ初先発の仲山獅恩と、こちらもリーグ戦初スタメンの白井のコンビ。そして右WBは敢えて開幕戦から全試合スタメンの内田を外して新井が起用されました。


仲山獅恩に「45分出し切って欲しい」という指示が出ていたように、前半なるべく耐えて後半にバトンタッチしたいという思惑でしたが、残念ながら鹿島の力量がそれを上回る。


サイドの守備で新井、深澤がせき止められず何度もチャヴリッチやレオセアラ、優磨がゴール前に。新井のコンバートは質的優位を作れず、いつも頼もしい大輝もこの日は相手の圧力に屈してロストを繰り返す。


なんとかそれでも、失点さえしなければ…という淡い期待も虚しく、26分にCKから鈴木優磨が巧みなテクニックでDFを交わしてゴールネットに突き刺し、失点。

さらに追い討ちをかけるようにこの際にヴィドがゴールポストに脚をぶつけて打撲。一度はプレー続行も数分後のCKの際に鈴木優磨と接触し、頭部と肩を痛めて続行不可能に。


22年から3年半もの間、どんな激しい接触やコンディションの不調にも耐えてきた「鉄人」もついにJ1のリーグ戦で初めてピッチを去ることに。

代わってこの3年間、リーグ戦出場がない中でも準備を続けてきた長沢裕弥が初めてJ1公式戦のゴールマウスを守ることになりました。


直後に早速、溝口が激しいシュートを枠内に飛ばすも上に弾いてセーブ。

しかし伸びた前半AT、左サイドの守備からチャヴリッチのクロスをブロックしようとした新井の手にボールが当たりPK。

長沢はコースを読んでいましたが、鈴木優磨のシュートの威力が勝り追加点を奪われて前半を終えます。


<いつか、報われる日が来るまで>

後半、山見と齋藤功佑がピッチに送り出されたことで相手陣内でボールを持つ機会が増えるも、鹿島のタイトな守備は決して隙を見せることなく、決定機を作ろうとしてはクリアされの繰り返し。


結局、後半のシュートはわずか一本。それも交代出場の川村の苦し紛れ気味の大きくゴール上に外れたものだけで、ほとんど決定機すら作れないまま今季初となる無得点での敗戦となってしまいました。


しかし、急遽の出場ながら長沢のパフォーマンスは素晴らしかった。

51分の右隅を狙った柴崎岳のミドル。

57分の荒木の左上を捉えたフリーキック。

そして82分のコーナーからの折り返し。

ほぼ一点ものの決定機を、冷静な判断で全て弾き返し、PKもコースは読んでいた。


聖域という言葉はネガティブな意味合いになることが多いのであまり使いたくはないのだけれども、1番ヴェルディのポジションで動きがなく変えがいないキーパーのポジションを、見事にやり切った。

出番がない中でも必死に準備してきたことを、昨年チャンピオンとのアウェイというこれ以上ない舞台でしっかりと見せてくれた。


ヴィドが大事に至らないことを願いながらも、国立で彼がファインセーブを見せて勝利に輝く姿を見てみたい…と矛盾した感情を抱く私でした。