<出会い頭の失点も、徐々に流れを掴む>
前半2分、自陣前のスローインが中途半端になり琉球にボールが渡り、ゴール前に抜け出される。馬場とボニが必死に身体を入れるも防ぐことはできず、早くもビハインドを背負うことになりました。
しかし、ここから流れを押し返し、サイドから中央から、矢継ぎ早にシュートを放ちます。30分に抜け出された1対1の絶体絶命のピンチも、マテウスが身体を張って防ぐ。
琉球戦はホームとアウェイで全く違う展開になりやすい。アウェイは高温多湿の中、相手の激しくくるディフェンスに耐え忍ぶ展開になることが多く、逆にホームは圧倒的に攻めながらも何故か点が入らないことが多い。
だからチャンスは作れる。でもゴールが入らなければ…と。42分。左に展開したミズキのクロスからリョウガがドンピシャのヘッドで合わせ、いい時間帯に試合を振り出しに戻します。
<10番を覚醒に導いたオグベン氏の言葉>
後半、前半早くに痛めたリヒトに変えコーケンさんをピッチに。
前半の最初ころ押し込まれましたが、途中から一方的に押し込む展開。前パスをカットし、相手がボールを保持していても激しく寄せてボールを奪う。攻め手を徐々に失った琉球は交代の阿部拓馬にボールを集めようとするも、たまに抜け出されるシーンはボニや谷口が身体を張って防ぐ。
そして待望のシーンは86分。ペナルティエリア前からフリーだったミズキがゴール前遠目から、鮮やかなミドルを叩き込んでついに逆転。
その後は琉球の逆襲を身体を張って防ぎ、残留および上位進出に大きな勝ち点3を掴みました。
試合後、ミズキはインタビューで「足を攣りかけていてしんどかったが、小倉コーチから『信じて使うから点を決めてから交代しろ』と檄をかけてもらった」とコメントしています。
マリノス時代のオグベン氏はあくまで裏方の方であり、公式メルマガにコメントが載る程度で、どこか掴みどころのない、例えるなら暗黙な仕事人というイメージでした。
ただ、この試合でミズキの気持ちを奮い立たせ、ゴールに繋がる言葉。
彼もまた、心に熱いものを宿し、選手たちの内にある熱きものを解き放つ力を持つ漢であることは間違いありません。
