今季のヴェルディですが、ホワイト監督に交代するにあたりまして、大きく変化すると思われるのが、戦い方の部分です。
以下の記事でも触れられています。
<<https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2019/02/19/kiji/20190219s00002000111000c.html>>
それにともなって、去年までのサッカーを一度振り返ってみたいと思います。ロティーナ監督は守備を重視する監督であり、攻撃については逆に個の突破力、アイディアに頼る部分がありました。
んで、守備を重視するというのはどういう事かというと、「極力リスクを犯さない」ということが前提になってきます。
もっと細かく言えば、不用意なボールの失い方をしない、ポジションから大きく離れないといった部分です。
ロティーナ監督は2年間にわたり、この戦い方を徹底してきました。
この戦い方をすることで、屈強な外国人FWを封じ込めたり、強烈なセットプレーやミドルを放つ足元の技術がある選手にも簡単に得点を許さないJ2屈指の強固なディフェンス力を誇っていました。
しかし、この戦い方にはデメリットもあります。それは攻撃については結果的に個人のアイディア頼みになる部分が大きい、という点です。
要するに、失点って基本的にミスが原因で起こるものですから、リスクを避ければ当然、失点することはないわけです。でも攻撃については、何回シミュレーションをしても結局、相手のディフェンスをどうかわしてゴールに繋げるかは個人の判断による部分が大きいわけです。エースのドゥグをはじめ、アラン、安西幸輝、藤本寛也、泉澤仁といった攻撃陣ももちろんすばらしい選手たちでしたが、彼らを封じ込めるだけの個の力や戦術を持ったチームになかなゴールを奪えないという欠点もありました。
それに対して、ホワイト監督のサッカーは「ガンガン攻めて、勝ちに行くサッカー」で、極端に言うと「間逆のスタイル」です。去年で言うと、J1昇格を決めた大分トリニータがこのスタイルに近い形でした。いわば「全員攻撃、全員守備」を地で行くようなイメージですね。J1王者川崎フロンターレも、近いスタイルを取っています。
攻撃時にはポジションを離れても人数をかけて相手ゴールに攻め込んでいく、守備の時は一部のFWを除き自陣に戻り、スペースを埋める、それでも突破されたらGKやDFが身体を張って守るというやり方です。
ただ、一般的、すなわち素人目線でどちらのサッカーが面白いか?といったら後者の方なんですよね。要は堅実なサッカーをすると、こちらのゴールキックになった時に相手のスペースが空くまでDFとGKとの間でボールを回したり、ボールを保持している時に相手のスペースが空いているように見えても安全策のためにボールを一度後ろに戻したりといったいわゆる「地味なシーン」が増えやすいんですよ。
それに対して、「攻撃的なサッカー」は相反しており、ポジションを離れててもボールがあれば取りに行くスタイルです。むしろ、ボールを失った時に一気に突破されるシーンも生まれやすくなります。しかし、素人目に見ていると「迫力がある」「何をやっているかわかりやすい」んです。
そうしてみると、去年までの2年間のサッカーは「見た目は地味だけど、高度で堅実なサッカー」であり、今年からのサッカーは「やっていることは至って単純だけど、見ている分には楽しいサッカー」だと考えます。
これについては「どちらが正解」ではないと思います。蓋を開けて見てそれが嵌まって、結果に繋がるかどうかなので。
もし今季ホワイト監督が1年目から結果が出たとして、それまでのロティーナ監督の2年間が否定されるわけでは、決してありません。
また、あくまでも違う戦い方をするというだけなので、ホワイト監督も自分の哲学をしっかり持って、昇格できるチームを作るために奮闘しています。
全く違う戦い方になったとしても、決して責めることはありません。ただただ、迫力ありガンガン攻める攻撃的なサッカーが見れるのが楽しみです。