現在は退職してしまったが、かつて同僚であり友人の、地元のチームであるベガルタ仙台を応援している奴がいる。
そいつにある日、かけた言葉。

「セレッソの関口、満了になっちゃったね、取らないの?」

関口智充。
俺も昔からよく知っている選手だった。
東京の名門、帝京高校出身で選手権で大活躍し、複数のクラブのオファーの中からベガルタ仙台に入団。
そこでもベガルタの絶対的な主力、花形選手として活躍した男だ。

会社のイベントであいつが関口のユニフォームを着てきた時、おそらくそいつにとって、関口は特別な選手だったんだろうなと思った。
しかし、そいつから返ってきた答えは意外なものだった。

「取るわけないよ。だってあいつ、裏切り者だもの」

関口はかつて、ベガルタが躍進し優勝直前までいったシーズンの立役者だった。今後もベガルタの星としてずっと活躍してくれると期待された選手だった。
しかし、その翌年、彼は浦和レッズへと移籍してしまったのだという。

「俺たち仙台サポにとって、浦和レッズに移籍するのは、お前らでいうところの大嫌いなチームに移籍するようなものなんだよ、例えばヴェルディ なら…FC東京とか、松本山雅とかだよ」

ああ、なるほど…俺は納得した。
理由は詳しく聞かなかったけど、当時の浦和は西川、闘莉王、森脇、あるいは阿部勇樹といった風な他チームの主力選手を大金で強奪する、金満チームというダーティーなイメージがあったんだと思う(今は神戸や名古屋に取って代わりつつあるが)

そういった事情を知らず、軽はずみな発言をしたことを悔やむとともに、
うちでいう関口みたいな選手って誰だろう?とふと考えてみた。

真っ先に思い浮かんだのは、2013年に山雅に移籍した前田直輝と、FC東京都移籍した中島翔哉のことだったが、よく考えて、違うなと思った。
彼らはたしかにユース出身の有望選手だったけど、まだ駆け出しで絶対的なレギュラーという感じではなかったし、何より当時は三浦ヤス監督の傍若無人なチーム運営にチームが振り回されてボロボロだった時代で、彼らが流出するのはやむなしだったと思った。

ほかにいるか…と考えた時、ある選手の名前が脳裏に浮かんだ。
「河野広貴…だな」

TO BE continued…