俺もかれこれ40年も生きている。そりゃあ、恋愛も数多く経験してきた。酸いも甘いも何とやらだ。ただ残念なのは、そのほとんどが片思いに終わったことである。
若い頃の俺は、好きな子が出来るたびに振り向いてもらおうと必死に頑張った。体型維持をしたり、髪を染めたりいじったり、その他いろいろとだ。若気の至りとは、恋心がもたらすエネルギーとは凄まじいものである。けれど本当に必要だったのは、修道者のように自分を磨き続けることではなかったように思う。今だからこそ当たり前のことが言える、必要なのは思いきって告白すること、ただそれだけでありそれが全てだったのではないか。
恋愛に必要なのは、努力ではなく勇気である。それが俺の、半生をかけた背理法の結論なのである。