自分だけがつらいと思うな、まるで自分が世界一不幸みたいな顔をするな。俺も友人に言われたか、それとも自分とは関係のないところで聞いたのか、いずれにしても覚えのある台詞である。皆さんもどこかで耳にしたことがあるのではないか。
然るに思う。自分と他人とどちらが恵まれているか、それを本質的な意味で比較することは不可能である。ならばこの世界に、自分より幸福な人間も不幸な人間も元より存在しない。自分がつらい時には、遠慮なく世界一不幸みたいな顔をして泣きわめく、誰もがその権利を持っているのではないだろうか。
もっともそれは、あくまで内心にとどめる限りでの話である。自分の気持ちを他人と一字一句違わずに共有することなど絶対に出来ないのだから、やはり共感の押し付けは、対人マナーとして控えるべきであろう。