最近はアニソンばかり聞いている。実のところ、俺はそれほどアニメに精通している訳ではない。だが近年のアニソンは実にクオリティが高いように思える。なぜならそれはアニメ会社、あるいはゲーム会社が総力を挙げて制作した楽曲だからだ。
俺の学生時代は世代で言うと、90年代後半のバンドブーム、そして00年代前半の歌姫の時代だ。特徴的であったのは歌手自らが作詞、あるいは作詞作曲の両方を手掛けていたことだ。個が音楽を作りそれを表現する、そんな時代であった。
しかし今や音楽は個で作る時代ではない。作詞・作曲・編曲にそれぞれ何人もの関係者が携わり、企業全体で1つの楽曲を作り上げる、そんなシステムが確立している。ならばアイドル歌手が重宝されるのもまた頷ける。歌い手は言うなれば、企業にとってのアイコンなのだ。
音楽シーンにおいて、個が輝いていた時代は終わった。ついそれを懐かしみ惜しんでしまうのは、やはり俺が歳を取ったからなのであろうか。