格差社会が叫ばれて久しい。20年だか30年だか前、日本は一億総中流国家と言われていたらしい。しかし上がらない賃金、下がり続ける平均所得。平成をジャンプしている間に我らが国はとんだディストピアに突入してしまったようだ。
しかしながら俺は問いたい、日本は本当に格差社会なのであろうか。確かに下流国民ならたくさんいよう、恥ずかしながら現在無職の俺などがまさにそれだ。あるいは真っ当に働いていても結婚を諦めている、そんな同世代の人たちの悲哀歌は五万と聞こえてくる。しかし上流国民など一体どこにいるのだろうか。そりゃ日本中を隈なく探せば、例えばSNSの中などに裕福な人たちを見つけることは出来るだろう。けれど世の中の1%の人たちが上流国民、その他99%が下流国民、果たしてそれは格差社会と呼べるだろうか。
「自分の生活は苦しい、けれど裕福な人たちはたくさんいる、だから国はまだ安泰だ」。結局のところ日本は、国民が格差社会という幻想を抱いていたいだけの一億総没落国家なのではないだろうか。そんなことを考え出すと憂いがどこまでも先走り、3度の飯しか喉を通らないのである。