先日夜10時、うかつにもタバコを切らしてしまった。しかもなんてこった、その日に限って手元には1000円しかない。「うわ、やっちまったなあ」。仕方ないので俺はタバコを1箱だけ買うことに。自宅から最寄りのマルエツまでは徒歩3分、セブンまではチャリで10分、雨も降っている。よって俺はマルエツへと向かった。
夜のスーパーでタバコを1箱だけ買う、これはなかなかに店員さん泣かせだ。レジには店員のお兄さんが1人、しかも意外と混んで並んでいる。タバコを売っているのはその横のサービスカウンター、そこには店員さんは誰もいない。だからと言って大忙しのレジのお兄さんに声をかけるのはあまりに忍びない。「こうなりゃ他の店員さんが来るまで持久戦だ。5分、10分、上等上等待ってやる」と思っていたその時だ。なんとレジにいた店員のお兄さんが、ほんの一瞬の客の切れ間を見て、サービスカウンターまで駆け付けてくれたのだ。こうして俺は無事タバコを購入。そしてレジへ急いで戻るお兄さん。
俺は思わず予定になかったカップアイス3品を手に取ってレジへ向かう。そこでも愛想よく接客してくれるお兄さん。そして俺は「暑くなってきましたね。この時期はやっぱアイスが美味しいですよね。でも知ってます?アイスのカロリーって意外と馬鹿にならないんですよ。3品も食べたら普通に食事1食分を超えるでしょう。それをよりによってこんな夜遅くに食す、普段なら俺はそんな暴挙は絶対にしません。でもそんなことは、今はどうでもいいのです。俺はあなたの店員としての良心的な対応に心から胸打たれ、ささやかながらも売上に貢献したくなったのです。恐らく俺より1周りもお若いであろうあなた、けれど俺は今更ながらにサービス業の何たるかを学んだ気がします。本当にありがとうございました」…などと言えるはずもなく無言でレジを通過。そのままそそくさと帰路へ。
しかし帰り道に思った。別にスーパーの売上が数百円程度上がったところで、あのお兄さんのバイト代には微塵も還元されないんだよなあ。せめてお客様の声ボックスでもあれば、あの店員さんを名指しで感謝と称賛の嵐を書き綴ったのに。