学生時代のイメージとして、野球部はとにかくゴツい。その筋骨隆々とした体格たるや、他の運動部を遥か凌駕している。ラグビー部よりも柔道部よりも、中学高校で一番マッスルなのは間違いなく野球部だ。
男子高3年の時、休み時間にクラス内で腕相撲最強決定戦を行ったことがあった。一応俺も優勝候補の大穴中の大穴として参戦させられたのだが、相手は身長190cmのラグビー高校日本代表男、勝てる訳がない。案の定0コンマで瞬殺されて即脱落。
そしてクラス中の誰もがラグビー高校JAPAN男の圧勝を信じて疑わなかったのだが、予想に反してラグビー高校JAPANと全く互角の勝負をしたのが万年地区予選敗退の野球部副部長だった。つまり弱小野球部でもラグビー高校日本代表クラスの腕力自慢がゴロゴロしているということだ。まさに野球部恐るべし。
しかしプロや社会人選手に目を向けた時、確かに野球選手の体格も常人離れしてはいるが、それはラグビー選手、柔道選手とはまるで比較にならない。つまり本来野球という競技には、ラグビーや柔道ほどの筋肉量は必要ないのだろう。
ならばなぜ中高野球において、あれほどまでに筋力トレーニングが課されるのか。筋肉はないよりはあった方がいいかと思いきや、筋肉を成長期の身体に纏うという行為には大きなリスクが伴う。過度の筋トレは身長の伸びを止めてしまうのだ。もし将来本気でアスリートを目指すのであれば、身長の伸び悩みはまさに死活問題であろう。
中高野球部の練習は、俺から見るといささか精神論に偏重し過ぎて合理性に欠くように思える。たとえ部活動自体が競技性よりも教育的要素に重きを置いているとしてもだ。