28日、神奈川県川崎市で起きた19人死傷事件。これを受け、とある個人ブロガーの発言が今、大物議を醸している。事の発端は、藤田孝典・聖学院大学客員准教授がYahoo!ニュースに投稿した1件の記事だ。以下、一部を抜粋する。
―――ネット上では早速、犯人らしき人物への非難が殺到しており、なかには「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」「死ぬなら迷惑かけずに死ね」などの強い表現も多く見受けられる。まず緊急で記事を配信している理由は、これらの言説をネット上で流布しないでいただきたいからだ。
秋葉原無差別殺傷事件など過去の事件でも、被告が述べるのは「社会に対する怨恨」「幸せそうな人々への怨恨」である。要するに、何らかの社会に対する恨みを募らせている場合が多く、「社会は自分に何もしてくれない」という一方的な感情を有している場合がある。
類似の事件をこれ以上発生させないためにも、困っていたり、辛いことがあれば、社会が手を差し伸べるし、何かしらできることはあるというメッセージの必要性を痛感している―――
皆さんはこの言を聞いて、いかが思われただろうか。俺は全身が打ち震えるほどに強く怒りがこみ上げた。自己顕示欲の至りでは到底済まされない、よくもこのような無神経なことを公に発信できたものだ。もしこの人に欠片でも倫理や道徳があるのなら、このような独善と欺瞞に満ちた綺麗事を、果たして被害者の家族の前でも言えるのだろうか。
正論の形は何も一つではない。藤田氏の主張もまた、一つの正論なのだろう。しかし当事者に何の救いももたらさない第三者の正論は、一切の意味も価値も成さない。それは無益どころか有害ですらある、少なくとも俺はそう考える。