昨日の日記で、知力体力問わず自分の加齢による衰えを見せつけられたくはないものだと書いたが、俺が母校日大の入試数学問題以外でもう一つ、老化を知るのが怖くて挑戦できないものがある。それはゲーセンのパンチングマシンだ。
まだ若かりし頃、俺はパンチングマシンが強かった。少なくとも周囲の友人の中では一番強かった。スコアは機種にもよるが、例えばメジャーどころで「はじめの一歩」や「ソニックブラストヒーローズ」ではMAXで230越え。普通に本日最高記録を連発し、非常に治安の悪いゲーセンのパンチングマシンの一角において、たかっているヤンチャ君たちを驚かせていた。
けれどそれも遠い昔、もし今パンチングマシンを打ったら果たしてスコアはどれくらいであろうか。仮に10代や20代男性の平均が130~140だとして、せいぜい160~170辺りがいいところだろう。いや、そこまでも行かないかも知れない。パンチとは脚、腰、肩で打つものだが、何せ最近肩こりが酷く、果たして肩の関節が俊敏に稼働するかどうか。
しかしクズ御用達の台詞を言わせてもらうなら「俺が悪いんじゃない、世の中が悪いんだ」。もしこの歳になっても友人が「まきしま、ゲーセンでパンチングマシンやりに行こうぜ」と誘ってくれたなら、それが許される社会的風潮があったなら、俺はパンチ力を鍛えるべく今でもバリバリ筋トレをしていただろう。それが明確な目標になるからだ。
けど現実はどうであろうか。もしもゲーセンで37歳のオッサンが若者たちを押しのけてパンチングマシンにのめり込んでいたら、それはあまりにも痛々しく見るに堪えない光景だ。たとえスコア200を出そうが300を出そうが、悪戯盛りのヤンチャ君たちでさえもが哀れみの目を以て俺のことを冷ややかに傍観することだろう。
然るに、考えてみたらおかしな話だ。「パンチングマシンなら殴っても良し。人を殴ったら警察行き、器物を殴っても警察行き」。その点につき、彼らと俺とで一体何が変わろうか。それは「いい歳になってきたからこそ理解る」ようなことでは断じてない。10代の少年も30代のオッサンもともに共通の社会認識にして社会規律、社会常識ではないか。
若者も老人も、男性も女性も、みんな仲良く楽しく平等にパンチングマシンが打てる社会。そんな明るい未来をこれから築いていこう。Heal the world, make it a better place.