俺はよほどのことがない限り、一人で混んでる飲食店には入らない。食事しているところを他人に見られるのが大嫌いだからだ。それがまだ居酒屋や焼き鳥屋、ラーメン屋ならその場にいるのは同族people、ギリギリ我慢も出来るというもの。しかし例えばファミレスなんぞ、ファミリーもいないのに誰が入るものか。
さてGW中、俺は地元の友人と夜9時頃地元のガストに行った。大型連休の真っただ中だというのに店内はガラ空き。「ここのガスト大丈夫か。潰れるんじゃないか」と友人たちと話していたのだが、俺は内心ほくそ笑んでいた。「ガラガラのファミレス…意外な穴場GETだぜ。当分ここを俺の飯処にしよう」
そして昨日、午後が丸々オフだった俺は早速その足でガストへ。「夕方4時か。夜でさえあれほど空いていたんだ、この時間なら俺の貸し切り状態かも知れん。我が物顔で居座ってやろう」
ところがこれが全くの真逆。夕方のファミレスは女子高生とママ友と有閑マダムでごった返していたのだ。「そうだった、ファミレス需要とはこういうものだった」なんてこった、俺は経済学部卒でありながら外食産業の需給構造を完全に見誤っていたのだ。
俺はハンバーグとライスを注文。見渡せば店内の女性率は9割以上。女子高生、マダム、マダム、女子高生、マダム。そしてママ友は、よくよく見ると俺と同世代ではないか。「これじゃ俺の中学の同級生にも出くわしかねない。地獄絵図だ」なんでこんな服装で来てしまったのか、なんでこんな髪形で来てしまったのか、そしてなんでこんな顔で来てしまったのか。なんかもう、本当に場違いですみません。
「お待たせしました」ようやく来たハンバーグとライス。急いで食って店内を出ることに。しかし慌てて食おうとすればするほど、ナイフとフォークがカチャカチャカチャカチャ震える。そしてベチャ。俺はハンバーグの塊をモロにジャケットの袖にこぼしてしまった。これが取れない。どんなに拭いても拭いてもソースが取れない。「最悪だ、買ったばかりなのに、ユニクロで6000円で買ったばかりなのに」
「ありがとうございました」俺はほうほうのていで店内から脱出。ありがとうガスト。さようならガスト。もう二度と来ることはないだろう。テンパって完全に忘れていたが、結局最後の最後まで水もおしぼりも出て来なかったし。