あくまで俺の主観的な経験則ではあるが、大学受験において、文系学部受験よりも理系学部受験の方が遥かに志望生の水準が高く難関である。
例えば俺は文系で日本大学経済学部卒、入学時の偏差値は57。これは日大理工学部と全く同等なのだが、文系市場における偏差値57と理系市場における偏差値57では実質的な難易度において、偏差値に換算しておよそ5ほどの開きがあるだろう。それほどまでに理系受験は困難を極め、また早慶国立といった一流大学への門戸も狭い。
しかしながらアリとキリギリス。文系学部生と理系学部生では就活において、後者の方が圧倒的に有利だ。文系の就活が壮絶の一言に尽きるのに対し、理系の就活は売り手市場、一流企業への就職は半ば約束されている。
まさに文系も理系も一長一短といったところだが、では(1)一流文大から二流企業、(2)二流理大から一流企業、果たしてどちらがより幸福な選択と言えるだろうか。何を以て正解と為すかは人それぞれであるが、もし俺が尋ねられれば(1)一流文大から二流企業をお勧めするだろう。
大学時代というのは何も考えずに遊び倒すことが許される時間、人生で一番調子に乗って良い時期だ。その際に大学名というのは大いにハクが付く。対外的な評価においても対内的な自信においても極めて大きなファクターと言えるだろう。
一方、就職してしまえば企業名に酔いしれるのもほんの束の間、一流企業だろうと二流企業だろうと等しくそこは戦場である。過酷な日々に追われているうちに、いつしかブランド意識などどこかへ消し飛ぶだろう。ならばどうせなら学生時代のうちに天狗になっておいた方が、よりお得ではないか。
以上が俺の個人的なモラトリアム観である。
昨今、日本経済は低迷の一途。しかしそれでも今なお日本が高い国際競争力を維持できるのは、ひとえに日本の世界最高水準の産業技術力が故である。従って国家が早急に求める人材は高度なノウハウを有した技術者、即ち理系学部卒生である。
しかし我々は何も国のために受験・就活するのではない。あくまで自分自身が人生を楽しむためにするのであろうが。