音もなく気配もなく”それ”は蠢き出す | まきしま日記~イルカは空想家~

まきしま日記~イルカは空想家~

ちゃんと自分にお疲れさま。

夜の狂気がとばりとなって街を覆う
木々がざわめく 家々がざわめく
そして音もなく気配もなく
”それ”は蠢き出す

”それ”は窓辺から静かに侵入し
無数に這い回り 部屋の床を浸していく
始めは伺うように
やがて我が物顔に

そして”それ”はベッドを這い上がり
手足の先から私の身体を侵していく
やがて”それ”は胸に浸透する 
息が出来ない 助けて―――

ある人たちは”それ”を退屈と呼ぶ
私は”それ”を孤独と呼ぶ