今となっては自分でも信じがたいが、学生時代、俺は友人が20人、30人といた。超が付く八方美人だったのだ。もちろん友人が多くいたからこそ経験できた楽しい思い出もたくさんあったが、それ以上にガラにもなく陽キャを演じ続けたことで、精神的に疲れ果ててしまった。
思うに「ある理想的な条件」の下では、学友は2人もいれば十分だ。例えば登場人物の8割が女子というご都合主義の塊のようなハーレムラブコメの主人公も、男友達は2人というのが相場である。ついでに言うならその男友達はアホでエロで全くモテず、主人公のハーレムを決して脅かさないというところまでがお約束だ。
しかしここで言及したいのが、「ある理想的な条件」である。「ハーレムラブコメの主人公の男友達は決まってクラスの席が主人公の隣りか前後なのである」。では主人公の男友達2人が3年間同クラスで主人公の前後左右の席となる確率を計算してみると(ここでは1学年300人1クラス30人、クラス内の席の配置は5×6列とする)、
((((4/119)×(3/118))/2!)
+(((3/139)×(2/138))/2!)
+(((2/39)+(1/38))/2!))^3≒1/500000000
なんと5憶分の1。宝くじ1等当選にも匹敵する、まさに神掛かった”引き”なのである。
先にハーレムラブコメはご都合主義の塊と述べたが、最大にして最強のご都合主義は、主人公の数少ない男友達が常に近くに座っていることなのかも知れない。