先日ネットでラジオを聴いていたところ、ある女性パーソナリティさんが自身の儚い恋愛観を語っていた。「みんな付き合っては別れ、付き合っては別れ、そして星の数ほどのカップルが生まれていく」。宇宙論にからめた何ともロマンティックな比喩である。
さて、銀河の中心部というのは星間ガスの密集地帯である。それは我々の太陽系が属す天の川銀河もまた例外ではない。星間ガスというのは新たな恒星の卵であり、そこでは巨大で短命な星が生まれては砕け散り、生まれては砕け散り、その残骸たる恒星質量ブラックホールが重力で寄せ集まって、太陽質量の数百万倍~数百億倍という超巨大ブラックホールが形成されていく。
よって天体物理学の観点から、冒頭の女性パーソナリティさんの恋愛観を少し正しておきたい。「みんな付き合っては別れ、付き合っては別れ、そして光さえも逃れられないとてつもなく深くて重い心の闇が形成されていく」。