ふと古生物学に思いを馳せる時、どうしても俺の中に大きな疑問がよぎる。「なぜ生物は高度に進化したのか?それは自殺行為ではないのか?」
生物の普遍的目的は2つ、「個体維持」と「種の保存」である。今日数多の生物が様々な営みを為しているが、全ての生物の行動原理を究極的に突き詰めると、皆個体維持と種の保存に則している。
しかしそれに反しているのが、生物の進化における特殊化だ。生物が複雑に進化すればするほど、環境変化に対する耐性は失われていく。例えば高く複雑に積み上げたつみ木は、ふとしたはずみで簡単に崩れ去ってしまう。それと全く同じことが生物の進化においても言えるのだ。
そして古今生物界には食物連鎖の頂点に君臨する絶対王者が存在した。例えば古生代の大型昆虫類、中生代の大型爬虫類(恐竜)、そして現代の人類だ。
しかし大型昆虫類、恐竜は地球規模の天変地異によって絶滅してしまった。そして同規模の環境異変が起これば、人類もまたあっけなく滅びてしまうだろう。
けれど過去幾度の生物大量絶滅においても種の灯を消すことなく生き延びてきたのが、原生生物や菌類などの微生物である。つまり個体維持、種の保存に最も適しているのは、高度でも複雑でもない原始そのままの微生物なのだ。
もし生物の目的が「食物連鎖の上位に君臨すること」であれば、生物が強大に進化するのもうなずける。しかしそんな文言がどこにもない以上、生物の進化・特殊化はデメリットでしかないと思うのだが。