1960年代は、米ソによるロケット打ち上げ合戦であった。アメリカがアポロ計画を、ソ連がソユーズ計画を掲げて競い合うように宇宙を目指し、そして1969年、アポロ11号が月面有人着陸を達成したことでこの競争は決着を迎えた。
その後アメリカは6度月面の有人着陸を成功させているが、1973年のアポロ17号を最後に月面着陸をしていない。なぜアメリカは40年以上も月に行っていないのか。アポロ計画の月面有人着陸は全てアメリカによる偽装であったとの憶測も飛び交っているが、仮に俺がアメリカ大統領であったとしても、月面有人着陸の再開にGOとは言わないであろう。理由は以下の2つだ。
(1)開発費が莫大過ぎる。アメリカはアポロ計画に最終的に1350億ドル(12兆7000億円)をつぎ込んだと言われる。そしてその見返りはもちろん1セントもない。米ソ国威合戦が終わった今、そんな莫大な金を月に投げ捨てるよりは、何らかの政策費の足しにする方が遥かに賢明であろう。
(2)人命を軽んじ過ぎている。あくまで今現在の倫理に照らし合わせるなら、アポロ計画もソユーズ計画も非人道的であったと言わざるを得ない。何せ「事故らずに月に行けたらラッキー」と書かれたチケットをパイロットに渡すのだ。実際にアポロ計画では10人以上、ソユーズ計画では150人以上の犠牲者が出ている。
以上より、せめて地球を周回するスペースシャトル程度に安価で安全な有人探査機が開発されるまでは、イチかバチかで人を月に飛ばすなどという愚行は二度と行われないだろう。