『サザエさん』といえばテレビ放送50年、恐らく日本人の99%が知っているであろう国民的長寿アニメである。他の数多アニメ作品と比べても『サザエさん』の人気・知名度は突出しており、これに追随する作品があるとすれば、唯一『ドラえもん』くらいだろう。
しかし俺はこの『サザエさん』がどうしても好きになれない。その理由は磯野家内における波平の尊大な振る舞い、それに対するフネ、サザエの従順的態度、これらに一時代前の男尊女卑、ジェンダー差別を感じてしまうからである。
そもそも日本人はなぜ『サザエさん』に惹かれるのか。とりわけ笑いも涙もない『サザエさん』の一体どこに面白味があるのか。これは少年期より今に至るまで俺にとって大きな疑問であった。けれど最近、ネットTVでとあるアニメ作品を見知ったことで、『サザエさん』理解への足掛かりを見つけたように思える。それは『らき☆すた』だ。
『らき☆すた』は2007年に放映され人気を博した、深夜アニメ黎明期の金字塔的作品である。内容は「日常あるあるアニメ」、日々起こる誰もが経験したことがあろう出来事や社会的風潮について、女子高生目線でほんわかと斬り込んでいくというものだ。俺は観てすぐさま思った、「ああ、これが『サザエさん』本来の方向性なんだな」。
しかしである。放映から10年の『らき☆すた』においてさえ、今観ると随所随所に時代錯誤が見受けられる。それは女子高生の携帯普及率であったり取り上げる時事ネタの古さであったりだ。まして『サザエさん』は放送半世紀、開始当時の”あるある”は今となってはことごとく”ないない”なのである。
◆後世に残したい国民的アニメ
(フジ『1億3000万人が選ぶ
究極アニメランキング』より)
1位 サザエさん
2位 ドラえもん
3位 となりのトトロ
4位 まんが日本昔ばなし
5位 ドラゴンボール
6位 ONE PIECE
7位 名探偵コナン
8位 風の谷のナウシカ
9位 鉄腕アトム
10位 アルプスの少女ハイジ
そんな訳で、やはり俺は『サザエさん』に共感ボタンを押せずにいる。まあ多数派、少数派に関わらず趣向は人それぞれ。『サザエさん』が超巨大コンテンツだからと言って、それだけの理由で俺が後乗りしなくてはならない道理はどこにもないのだが。