今から15年ほど前の大学時代、日本がまだ世界第2位のGDPを誇っていた頃。俺は常々思っていた。
「21世紀は3つの経済超大国が誕生し、世界経済を牛耳ることになるだろう。アメリカ、中国、そしてインドである」。
時は過ぎて現在、確かに世界には3つの超大国が出現した。しかしその3ヶ国は俺の思っていたところと若干異なる。アメリカ、中国、そしてもう1ヶ国はインドではなくロシアである。
ロシアは世界一の国土面積と豊富な資源を有しながら、これといった産業を持たず、2017年のGDPは世界11位の1兆5000億ドル。これは日本の3分の1程度、そしてアメリカの10分の1以下の水準である。
しかしながら、ロシアは世界トップクラスの軍事力を旧ソ連から引き継いだ。核保有数はおよそ6000発で世界第1位。アメリカの軍事力に世界で唯一対抗し得る軍事強国がこのロシアであろう。
ところが例えば80年代、日本は産業生産力で世界を席巻。軍事力などなくとも経済力で絶大な影響力を誇っていた。
ではなぜ世界の大国の基準は、まるで前近代に戻るように経済至上主義から軍事至上主義へと移行したのだろうか。俺が思うに、それは米ソ冷戦終結である。
米ソ冷戦時代、世界は常に一触触発の危機にさらされながらも、”二項対立”というルールの下に安定と秩序を保っていた。
しかし1991年ソビエト連邦崩壊により冷戦終焉。米ソ冷戦終結がもたらしたもの、皮肉なことにそれは平和ではなくさらなる混沌であった。
東西睨み合いという構図が崩れ、各地で紛争が勃発。もはや世界は金勘定をしている場合ではなくなってしまったのだ。そこへ介入出来る軍事力を備えた国こそが、今の世界情勢における超大国なのである。
◆各国の国内総生産(2017年)
1位 アメリカ 19兆4171億ドル
2位 中国 11兆7952億ドル
3位 日本 4兆8412億ドル
4位 ドイツ 3兆4232億ドル
5位 イギリス 2兆4967億ドル
6位 インド 2兆4544億ドル
7位 フランス 2兆4204億ドル
8位 ブラジル 2兆1409億ドル
9位 イタリア 1兆8074億ドル
10位 カナダ 1兆6002億ドル
11位 ロシア 1兆5607億ドル
12位 韓国 1兆4960億ドル
13位 オーストラリア 1兆3599億ドル
14位 スペイン 1兆2324億ドル
15位 インドネシア 1兆0205億ドル
16位 メキシコ 9673億ドル
17位 トルコ 7930億ドル
18位 オランダ 7926億ドル
19位 サウジアラビア 7073億ドル
20位 スイス 6593億ドル
腐っても日本はいまだ世界第3位の経済大国である。しかし「経済力ではなく国際政治力(そしてその延長としての軍事力)で存在感を示せ」と言われたら。
残念ながら日本の国際的影響力は、この先弱体化の一途を辿ることになるだろう。