根っからの音楽チャートマニアである俺は、毎週更新されるオリコンCDセールスランキングを欠かさずチェックしている。しかし今回は音楽の話ではない。
オリコンのサイトには写真館のページがあり、必ずアキバや池袋のアニメ系イベントに集った女子のコスプレイヤーたちの写真がピックアップされている。これが皆可愛い。可愛いのは認めるが、それでも俺は「はっ」と鼻で笑ってしまう。「女装ではない正真正銘の女子がバスト強調というチートを用いても、それでも俺とヤツの圧勝だな」。
俺の出身高は男子校だ。男子校生が年に一度、対外の女子高生と交流出来るのが文化祭である。当時俺は内輪の友人たちと「宮崎アニメ研究会」なる同好会を立ち上げていた。そして文化祭では毎年ジブリ作品上映会を催していた。(まず無料上映であり営利目的ではない。しかもわざわざスタジオジブリに連絡をして許可を得ている。よってどうか大目に見ていただきたい)。
その呼び込み担当が俺と友人A氏だった。しかしただ宣伝して回るのでは全くインパクトがない。そこでA氏が『魔女宅』のキキ、俺が『もののけ姫』のサンに女装コスプレをしてPRしながら校内中を練り歩くのだ。
そしてA氏と俺の女性コスプレ、そのクオリティがとにかくハンパない。校内には他にも女装コスプレをしているヤツが多々いたが、俺らの完成度は別格だった。なにせA氏は「天使も見とれる中性的美男子」、俺は「悪魔もだます神業メイク詐欺師」、道を行けば女子という女子が二度見し感嘆の「綺麗…」、文化祭閉会後には校門で他校の女子の出待ちが並んだほどだ。
どうやら時代が俺らに追いつくのが遅すぎたようだ。あと15歳も若ければA氏と俺、キキとサンのコスプレでコミケを闊歩してみたかった。注目必至、多分。