難病ALSを抱え「車いすの天才物理学者」として知られた、英国のスティーヴン・ホーキング博士が逝去した。76歳だった。
ホーキング氏の代表的な業績は、その研究家人生の早期に多く見て取れる。1963年に「特異点定理」、1974年に「ホーキング放射(ブラックホールの蒸発)」を発表、かのI.ニュートンやA.アインシュタインとも並び讃えられるほどの称賛を受けたが、その後は長きに沈黙。結局、現代物理学界屈指の偉人であることは揺るがないものの、例えばアインシュタインのような“唯一紳”とも言うべき大偉業は成し得なかった。
ALSが進行した壮年以降、氏は動かなくなった手の代わりに全ての演算を頭の中だけで行うという、驚くべき研究手法を取っていた。IQ200~250とも言われる驚異的な頭脳を持つホーキング氏ならではのスタイルと言えるが、やはりそれはあまりに残酷なハンディキャップであったと言わざるを得ない。もし氏が五体満足な体で研究に取り組めていたなら、あるいは今日の宇宙論は全く違うものとなっていたかも知れない、そう思うとただただ無念でならない。氏の冥福を心からお祈り申し上げたい。
もしかしたら、NHK日曜21時台のドキュメンタリー枠でホーキング氏の緊急特番が放送されるかも知れない。普段滅多にテレビを観ない俺だが、今週、来週中はテレビ番組欄を括目していようと思う。興味のある方はぜひともご一緒に。